【米大統領選2020】 連邦最高裁、トランプ氏応援の訴え退け 4州の結果無効を認めず


【米大統領選2020】 連邦最高裁、トランプ氏応援の訴え退け 4州の結果無効を認めず

トランプ大統領が大統領選で勝利したテキサス州の司法長官(共和党)など州共和党幹部は8日、ジョージア、ミシガン、ペンシルヴェニア、ウィスコンシンの4州での選挙結果の無効化を求めた。

この訴えを他の18州の司法長官や、連邦下院の共和党議員団幹部を含む共和党議員126人も支持し、支持意見を最高裁に提出した。

トランプ氏自身も弁護士を通じて、支持意見を提出していた。

しかし連邦最高裁は11日、短い判決文で、テキサス州には原告適格(訴訟を起こすための原告としての資格)がないとして、同州の訴えを退けた。

「テキサス州は他の州による選挙の実施方法について、法的に審理し得る利益が自分たちにあると、立証できていない」と、最高裁は判断理由を示した。

トランプ氏は「不正投票」が自分の大統領としての2期目を阻止したと根拠のない主張を繰り返している。トランプ氏と支持者は訴訟を連発してきたが、 裁判所が訴えを棄却したり、トランプ陣営が訴えを取り下げたりするなど、バイデン氏の勝利を覆すには至っていない。

トランプ氏は大統領選の結果は最高裁で決着するとしてきたが、今回の判決は同氏の敗北を決定づけることとなる。

連邦最高裁は8日には、激戦州ペンシルヴェニアの郵送票を無効にするよう求める共和党関係者の別の訴えも、1行のみの判決文で退けた。

大統領選ではバイデン氏が306人、トランプ氏が232人の選挙人(定数538)を獲得。バイデン氏の得票数はトランプ氏を700万票以上、上回った。14日の選挙人団投票で、バイデン氏の勝利が正式に確定する。

■与野党の反応

最高裁が退けた訴えでは、テキサス州のケン・パクストン州司法長官(共和党)ら原告団が、4州の州議会による「点検と批准のない違法な選挙結果の使用を認めない」よう訴えていた。これについては複数の法律の専門家が、訴えの正当性に強い疑問を示し、最高裁がこの主張を認めるはずがないと述べていた。

最高裁の判決を受けて、民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長はコメントを発表。最高裁の判断は「正しい」と評価し、この訴訟に参加した共和党議員たちは「この院に不名誉をもたらした」と非難。「憲法を支え守るという自らの誓いを遂行する代わりに、憲法を覆し、この国の神聖な民主主義の機構に対する国民の信頼を損なおうとした」と述べた。連邦議員は就任の際、合衆国憲法を支え守ると宣誓するのが決まり。

トランプ大統領は判決後、「最高裁には本当にがっかりした。賢明でもなければ勇気もない!」とツイートした。さらに12日午前には、「我々は戦い始めたばかりだ!」と全て大文字で強調してツイートした。トランプ氏は判決の数時間前にツイッターで、「最高裁が見事に賢明で勇気ある判断をすれば、アメリカ国民はもしかして史上最も重要な裁判に勝つかもしれないし、そうすればこの国の選挙制度はまた尊敬される!」と書いていた。

一方でバイデン陣営の広報担当は、トランプ支持者たちが「根拠なく」敗北を否定しようとするのを、最高裁が退けたのは「当然だ」とコメントした。

勝訴したペンシルヴェニア州のジョシュ・シャピロ州司法長官(民主党)はツイッターで、「この訴えはこの国の選挙プロセスを乱用しようとする反乱扇動的なもので、この国の最高の法廷はそれを見抜いた」と書いた。

同様にミシガン州のダナ・ネッセル州司法長官(民主党)も、最高裁判断は「この国が法の支配の国だと強調する重要なものだ」と歓迎。「一個人の欲求に屈する人もいるかもしれないが、裁判所はそんなことはしない」と述べた。

一方で、敗訴したテキサス州共和党のアレン・ウェスト会長は声明で、「17州と連邦下院議員106人が参加したこの訴訟を退けることで連邦最高裁は、州には違憲な行動が認められ、自らの選挙法に違反しても良いのだと表明した(中略)この決定は、立憲共和国としてのこの国の将来に、遠大な影響をもたらす。法を順守する諸州は団結して、憲法を守る州の連合を結成した方が、場合によっては良いのではないだろうか」と、判決に強く反発した。

■<解説>歴史書に残る法廷闘争――アンソニー・ザーカー、北米担当記者

大方の法学者の予想通り、最高裁は2020年大統領選の結果を覆そうとするテキサス州の訴えを全く取り合わなかった。

今回の判決は、8日にペンシルヴェニア州の郵送票の無効化を求める訴えを退けた際の、「申し立てを棄却する」という1行の判決文よりはいささか長かった。最高裁判事9人のうち2人は、訴えに全面的には反対しなかったようだ。しかし彼らでさえ、何百万もの票を取り消してトランプ氏を再選させようとするテキサス州共和党の動きに意義があったのかどうか、見解を示していない。

各州の一般投票の結果が認定されたことで、予定通り14日に全米各地で選挙人団投票が行われる。その時点でトランプ氏が法的に争える道は閉ざされることとなる。

そして来年1月6日に、連邦議会の上下両院合同本会議が選挙人団の投票結果を開票し、次期大統領が正式に決まる。共和党議員たちをはじめトランプ氏の支持者が土壇場で、1月のバイデン氏の勝利確定を阻止しようとするかもしれないが、そうした政治工作は失敗に終わるしかない。民主党側が、絶対に阻むからだ。

一方で、この訴訟の影響がすぐに消え去るとは思えない。18の州と共和党議員100人以上が、選挙結果を破棄するよう要求し、大統領は州議会が決めるべきだと主張からだ。

このことを民主党と歴史書は、そうそう簡単に忘れないだろう。

(英語記事 Supreme Court rejects Trump-backed election lawsuit)



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