サントリーHD前会長・新浪剛史氏に違法サプリメント購入疑惑、辞任と活動自粛の波紋

「私は法を犯しておらず、潔白であると思っています」――9月3日、サントリーホールディングス(以下、サントリーHD)前代表取締役会長の新浪剛史氏は、自身にかけられた違法サプリメント購入疑惑に対し、公の場で無罪を主張しました。この発言は、政財界に大きな影響力を持つ同氏を巡る一連の騒動に、新たな注目を集めています。

政財界を揺るがす「プロ経営者」への疑惑

サントリーHDの新浪剛史氏が直面しているのは、アメリカから大麻成分を含む違法なサプリメントを輸入したという重大な疑惑です。報道によると、8月22日には警察による家宅捜索が行われ、事態を重く見たサントリーHDの鳥井信宏社長ら経営陣は、「会長の要職に堪えない」と判断。これを受け、新浪氏は9月1日付で会長職を辞任するに至りました。

2007年の新浪剛史氏。スーツ姿で写る「プロ経営者」として知られる人物2007年の新浪剛史氏。スーツ姿で写る「プロ経営者」として知られる人物

新浪氏はサントリーHD会長職の傍ら、日本経済の重要政策提言を行う「経済同友会」の代表幹事や、内閣府機関「経済財政諮問会議」の民間議員など、多くの要職を歴任してきました。その影響力は政財界全体に及び、今回の疑惑を受けて、同氏は経済同友会の代表幹事としての活動自粛を発表。この決定は、今後の経済政策議論にも少なからず影響を与える可能性があります。

卓越した手腕で業績を牽引してきた新浪氏の功績

経済評論家の鈴木貴博氏によると、新浪剛史氏は日本の企業が陥りがちな“なあなあ”な経営とは対極に位置する、明確な目標設定と実行力を持つ経営者と評されています。高いコミュニケーション能力を武器に現場の社員と積極的に議論し、課題解決を主導するそのリーダーシップは、「プロ経営者」の典型と目されてきました。

実際に、新浪氏は2つの大手企業で目覚ましい業績向上を実現しています。2002年にローソンの社長に就任してからは、独自のプライベートブランド「おにぎり屋」などに注力し、他コンビニエンスストアとの差別化を図ることで、同社の業績を大きく伸ばしました。また、2014年にサントリーの社長として招かれてからは、積極的な海外M&A(合併買収)を推進し、サントリーのグローバル展開を先導。就任からわずか10年間で、同社の売上を約2倍にまで拡大させるという驚異的な成果を上げています。

まとめと今後の展望

サントリーHD前会長の新浪剛史氏に浮上した違法サプリメント購入疑惑は、同氏の会長職辞任、そして経済同友会での活動自粛という形で、日本の政財界に大きな波紋を広げています。卓越した経営手腕で数々の企業を成功に導いてきた「プロ経営者」の今後の動向、そして捜査の進展が注目されます。本件は、社会的な地位にある人物の責任と影響力の大きさを改めて浮き彫りにしています。


出典:Yahoo!ニュース / Jprime (2025年9月10日公開記事より)