【AFP=時事】南米ペルーは11日、中国の製薬大手「中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)」が開発した新型コロナウイルスワクチンの被験者1人に神経症状がみられたとして、臨床試験(治験)を一時中断したと発表した。
【図解】新型コロナ 各国のワクチン発注量
地元メディアによると、ペルーの国立衛生研究所(National Institute of Health)は11日、被験者1人に腕の動作が困難となる症状が出たことから、治験の中断を決定したと述べた。
ヘルマン・マラガ(German Malaga)首席研究員は報道陣に対し、「規定に従い、被験者1人が神経症状を示したことを規制当局に数日前に報告した。この症状はギラン・バレー症候群と呼ばれる疾患に該当する可能性が考えられる」と明かした。
ギラン・バレー症候群は、手足の動作に影響を与え、まひなどを引き起こすまれな非伝染性の疾患。ペルーは昨年6月、同症候群の症例が多数報告されたことを受け、公衆衛生上の緊急事態宣言を5地域に一時的に出していた。
1970年代に米国で行われた豚インフルエンザに対するワクチン接種では、約450人がギラン・バレー症候群の症状を示したことから、集団接種が中止された。
ペルーでの約1万2000人を対象としたシノファームのワクチン治験は、今週中に完了する予定だった。
このワクチンは2021年半ばに利用可能になるとみられており、ペルー政府は最大2000万回分を購入し、国民の3分の2に提供する見込みだった。
シノファームのワクチンを接種した人の数は、アルゼンチンやロシア、サウジアラビアでの被験者も含めて世界で6万人に上る。【翻訳編集】 AFPBB News