プーチン大統領=AP
(写真:読売新聞)
ロシアのプーチン大統領は21日のテレビ演説で、ウクライナ侵略を巡り、部分的な動員を発令したと発表した。予備役のうち30万人が招集対象となる。親露派などが占領地域で実施する住民投票でロシア併合の結果が出れば、支持するとも表明した。20日に始まった国連総会の一般討論演説ではロシアへの非難が相次いでいる。日米欧は住民投票の結果を認めず、ウクライナへの支援を継続する方針だ。
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ロシアがウクライナの反攻で占領地域の一部を失う中、プーチン氏はこれまで避けていた動員拡大に追い込まれた格好だ。21日の演説で、動員拡大は「緊急的措置だ」と強調した。理由について、反攻を強めるウクライナ軍との攻防が「西側全体」との戦闘に発展していると主張し、戦闘地域は全長1000キロ・メートル以上に及んでいると説明した。
また、「一定の軍事経験者だけが招集の対象になる」と述べた。ショイグ国防相によると、動員対象となるのは予備役のうち30万人となる。部分的動員は即日発令された。動員規模がさらに膨らむとの見方もある。
プーチン氏は世論の反発を警戒し、戦況が悪化しても動員拡大に慎重姿勢を維持してきただけに、方針転換となる。21日の演説では侵略作戦を「特殊軍事作戦」と引き続き称し、戦争状態への移行は明言を避けた。
侵略目的に関しては、ウクライナ東部ドンバス地方(ドネツク、ルハンスク両州)の全域制圧に「変わりはない」と述べ、2月24日の侵略開始時点から変更がないと強調した。
一方、ドンバス地方の親露派武装集団と、南部ヘルソン、ザポリージャ両州の親露派勢力がロシアへの併合に向けた住民投票を23~27日に実施することに関し、プーチン氏は「住民の多数が下す決定を支持する」と述べた。住民投票後に一方的な併合を推進する姿勢を示したものだ。住民投票の対象地域を「ノボロシア(新ロシア)」と表現し、ロシアの領土だとの認識も明らかにした。