キム・ポンジン代表
ドイツ企業のデリバリーヒーロー(DH)が「配達の民族(ペダレミンジョク)」(ペミン)を買収するために「ヨギヨ」を売却することにした。
公正取引委員会が韓国のフードデリバリーアプリ1位の「ペミン」と2位の「ヨギヨ」の企業結合審査を「条件付き承認」するという結論を出したことに伴うものだ。
公正取引委員会は28日、1年余りの審査の末に「ペミン」と「ヨギヨ」の事業者間企業結合を「条件付き承認」として結論を出した。2社の合併から生まれる寡占に対する懸念を解消するために「ヨギヨ」の運営社であるDHコリア株を100%売却しろという条件だ。公正取引委員会は「ペミン」と「ヨギヨ」間の競争が消えれば消費者に対するクーポン割引特典などが減り、飲食店への手数料は上昇するのではないかと懸念した。
趙成旭(チョ・ソンウク)公正取引委員長は「最低限、今の競争構造は維持するほうが望ましいと判断する」とし「ただしDHがヨギヨの企業価値を下落させ、公正取引委員会の是正命令の効果を薄めるおそれがあり、形態的措置を追加した」と明らかにした。
結局DHはこの日午後、自社ホームページを通じて公正取引委員会の決定を受け入れる意向を公式発表した。ニクラス・エストベリ最高経営責任者(CEO)は「DHコリア(DHK)売却条件は非常に悲しい」としつつも「キム・ポンジン代表(ペミン創業者)を新しい家族として迎えることになりうれしい」と明らかにした。ニコラス氏は「来年1-3月期に(公正取引委員会から)最終承認を受け取れるよう期待する」と明らかにした。
DHKもこの日公式立場を出して「DHとウーワブラザーズ(Woowa、ペミン運用会社)の企業結合に向けてDHKを売却するという難しい決定を下さなければならない点については非常に遺憾だと考える」と明らかにした。
公正取引委員会の決定により、DHはヨギヨを運用するDHK株すべてを6カ月以内に売却しなければならない。
公正取引委員会は売却前までヨギヨの価値をそのまま保存するよう現状維持命令も下した。これに伴い、DHはヨギヨを売却する時まで飲食店の手数料率に手を加えることはできない。また、消費者に対して以前提供していた以上のプロモーション費用を使わなければならない。あわせて公正取引委員会は配達員の勤務条件を不利に変更できないようにし、ヨギヨの情報資産をペミンに移転・共有することも禁止した。
公正取引委員会が2社の結合について決める際の核心は「両社の事業領域をどことみるか」だった。公正取引委員会は「市場画定」過程で2社がフードデリバリーアプリ市場、フードデリバリー代行市場、シェアキッチン市場を分け合うだろうと判断した。特に2社はフードデリバリーアプリ市場で圧倒的シェアを持つようになる。取引額をフードデリバリーアプリ市場のシェアでみると、2社のシェアは99.2%(2019年基準)に達する。
しかしDH側は、市場画定をアプリだけでなく電話注文市場まで広げると、2社のシェアが競争を制限しないと反論してきた。
ヨギヨはDHがアジアで展開する事業のうち最も速いスピードで成長して、代表的な成功事例に挙げられる。業界ではヨギヨの企業価値が少なくとも2兆ウォン(約1890億円)に達するものと推算している。
ニールセンコリア・クリックによる調査の結果、今年9月ユーザー基準フードデリバリーアプリ企業のシェアはペミン59.7%、ヨギヨ30%だった。8月にモバイルインデックスが調査したフードデリバリーアプリ(アンドロイドOS基準)の月間アクティブユーザー数(MAU)は。ペミンが1066万、ヨギヨが531万人で2対1の比率を維持した。ペミンが昨年12月DHとの契約で約4兆7500億ウォンの市場価値を認められた点を考慮すると、ヨギヨの企業価値もペミンの半分は十分に超えるとの評価がある。
これについて淑明(スンミョン)女子大学経営学科のソ・ヨング教授は「DHは世界で最も激しいeコマース市場で事業を展開したペミンの経験に5兆ウォン近い金額を投資した」としながら「ヨギヨもそのような脈絡で戦略的パートナーに売却する場合、DHはペミンとヨギヨを共同所有する効果を享受し、規制当局は体面を保つウィンウィンの結果を得られる」と話した。