現代重工業が建造したLNG運搬船。[写真 韓国造船海洋]
韓国の造船業が昨年10-12月期に「受注ジャックポット」を当てて反騰に向け伸びをしている。
韓国造船海洋、大宇造船海洋、サムスン重工業の造船大手3社を前面に出した韓国の造船業は世界的競争力を備えた液化天然ガス(LNG)推進船の製造技術力をてこにして原油運搬船やコンテナ船などに受注を拡大していく計画だ。韓国の造船業は2010年代に世界的な需要減少と競争激化などによる深刻な困難を経験した後に反騰したが、昨年は新型コロナウイルス流行の余波などで再び下降曲線を描いた。
1日の業界によると、造船3社は昨年10-12月期だけで139億ドルを受注した。新型コロナウイルスなどの影響で7-9月期まで受注減少を体験していたことを考慮すれば劇的な反転だ。10-12月期の3カ月間に受注した金額は昨年7-9月期までの累積額70億ドルの2倍近くに達する。
現代重工業グループの造船持ち株会社である韓国造船海洋は10-12月期だけで55億ドル相当を受注した。昨年の全受注額の55%だ。また、サムスン重工業は昨年の全受注額55億ドルの82%に当たる45億ドルを受注した。大宇造船海洋も昨年7-9月期まで15億ドルにとどまったが、10-12月期だけで39億ドルの注文を獲得し「受注の崖」から抜け出した。
10-12月期に期待以上の好実績を出したおかげで3社は昨年合計209億ドルを受注した。受注残高は2020年末基準で632億ドルに達する。受注残高だけ見れば2019年末の730億ドルより100億ドルほど減ったが、少なくとも来年の工事量は確保している。
◇高付加価値LNG運搬船90%を独占
10-12月期の好成績の原動力は断然LNG運搬船だ。1隻当たり単価2000億ウォン以上で高付加価値船舶であるLNG運搬船は韓国の独壇場も同然だ。造船・海運調査機関のクラークソンリサーチによると昨年1~11月に世界で発注された大型LNG運搬船のうち韓国は80%以上を確保した。先月は特にLNG運搬船受注が多かった点を考慮すれば、年間シェアは90%以上になるだろうという見通しだ。
LNG運搬船だけでなくコンテナ船と超大型原油運搬船(VLCC)の受注が着実に増加しているという点も鼓舞的だ。韓国の造船業はこれら船舶にLNG二重燃料推進装置を付けて受注に参入している。二重燃料推進装置を付ければディーゼルだけでなくC重油とLNGも並行して使える。今年世界海事機関(IMO)と欧州連合(EU)などの環境規制が強化され海運会社の関心を集めている装置だ。燃料効率も既存の船舶より20~30%ほど高い。関連技術力は韓国の造船企業が最も高いと評価される。大宇造船海洋も先月欧州地域の海運会社とLNG二重燃料推進VLCC10隻に対する建造意向書(LOI)を締結している。
今年造船業界の最大のイシューはカタール・プロジェクトの本契約だ。業界ではカタール国営石油社QPが今年大規模にLNG運搬船を発注するとみている。これに先立ち韓国造船大手3社はカタールと本契約前にドックを確保するためのスロット契約を結んでいる。NH投資証券のチェ・ジンミョン研究員は「今年4-6月期中に40~60隻の発注が予想される。4-6月期にLNG運搬船から始まり7-9月期にはバルク船とタンカーなども正常化軌道に入るだろう」と話した。
先月末に産業研究院は「2021年主力産業見通し」を通じ今年の韓国造船業輸出は昨年より2.2%増え202億ドルになると予想した。特に昨年新型コロナウイルスで引き渡しが遅れた船舶の輸出が上半期に集中し、上半期の輸出は6.7%増えるものとみられる。そのおかげで今年の造船業全体の生産量は967万CGT(標準貨物船換算トン)で昨年の873万CGTより10.8%増えるという見通しだ。