国際穀物価格が急騰している。異常気象と新型コロナウイルスの影響のためだ。食品原材料として使われる穀物価格の上昇が続き、韓国の食品物価が連鎖的に上がるだろうとの懸念が大きくなっている。
米シカゴ商品取引所では16日にトウモロコシ基準物である3月引き渡し分先物は1ブッシェル当たり53.9ドルで取引され、2013年6月以降最も高い価格を記録した。小麦3月物は67.5ドル、大豆3月物は14.145ドルで取引された。昨年1月と比較すると価格はそれぞれ40%急騰した。
世界の食糧サプライチェーンは昨年から亀裂が入っている。最初の理由は異例な気候変動だ。欧州連合(EU)の地球観測データプログラム「コペルニクス」によると、昨年1月、5月、9月、11月はそれぞれその月としては過去最高の高気温を記録した。地球の気温が上昇すると米国、中国、ロシア、欧州など主要食糧産地の各地で猛暑と集中豪雨、日照りなど極端な気象現象が現れた。このため主要作物が大きな作況打撃を受けた。
新型コロナウイルスも世界の食糧サプライチェーンを揺るがしている。各国で封鎖措置が続き主要生産国の農家では季節労働者が大幅に減った。各国間の物流コストは大幅に増えた。一部では移動が難しくなり販路が崩壊した。
主要国の食糧保護主義の動きも穀物価格を上げている。世界最大の小麦輸出国であるロシアは自国内の小麦供給量が減ると輸出抑制措置を出した。ロシア政府は3月1日から小麦の輸出関税を1トン当たり50ユーロにこれまでより2倍に引き上げると15日に発表した。トウモロコシと麦に対しても輸出関税を引き上げる計画だ。
国連食料農業機構(FAO)は「食糧インフレはいまや現実。穀類をはじめとして肉類、乳製品などの食糧価格上昇がしばらく続くだろう」と予想する。サプライチェーン問題は短期間で解決できるものではない。
こうした流れは韓国の食品物価にも影響を与える見通しだ。食品原材料や飼料として使われる大豆とトウモロコシ価格が上昇すれば豚肉のような肉類価格も上がる。小麦価格が急騰すれば製粉業者が使う小麦粉価格もともに上がる。食品企業も即席めん、パン、菓子などの製品価格を相次ぎ引き上げる公算が大きい。農林畜産食品部によると、2019年の韓国の穀物自給率は21.0%にすぎない。小麦の場合は消費量のほとんどすべてを輸入に依存している。
食品業界関係者は「食品企業は通常原料在庫を3~6カ月分ほど確保しておくが、主要食糧原材料価格の上昇傾向はすでに6カ月を大きく過ぎた。これまでは物価への影響などを考慮し企業が原価負担に耐えたが、ここで穀類価格がさらに上がればこれ以上耐えられる期間は長くない」と話した。