米国のテキサス州オースティンにあるサムスン半導体工場が大寒波の停電で稼働を停止していることが分かった。米南部州にある他の韓国企業の工場も次々と停止させられているという。サムスン工場の稼働再開日は未定のようだ。これでサムスンは巨額の損失を計上することになり台湾のTSMCとの差がますます広まることになる。
【韓国】サムスン米工場停止、寒波による電力不足で
2/19(金) 11:31配信 NNA
韓国サムスン電子が16日(現地時間)、記録的な寒波と大雪による電力不足の影響で米テキサス州オースティンのファウンドリー(半導体の受託製造)工場の稼働を停止したことが分かった。サムスンが同工場の稼働を停止するのは設立以来初めて。
オースティンの電力供給会社オースティン・エナジーは、大規模な停電や電力不足を受けて、産業用電力を使用する企業に工場の稼働停止を要請した。サムスン電子をはじめ、オランダのNXPセミコンダクターズやドイツのインフィニオン・テクノロジーズの現地半導体工場も停止しているという。
サムスン電子のオースティン工場では、米国のインテルやテスラ、IBM向けの車両用半導体や通信チップなどを生産している。サムスン電子関係者によると、工場の停止は突然の停電ではなく要請を受けての措置だったことから、ウエハーの損失などの被害を最低限に抑えることができたという。
サムスン電子は約170億米ドル(約1兆7,989億円)を投じて同工場の増設を検討しているとされるが、安定的な電力供給に対する懸念が生まれたことで、追加投資を見直す可能性もあるという。
サムスン以外の韓国企業も相次ぎ停止、被害総額数千億円か
聯合ニュースでは他にもルイジアナ州のロッテケミカル工場、テネシー州とアラバマ州のLG電子工場、メキシコ北部のLG電子と起きる亜流の工場も停止されていることが報道されていた。これだけでも大打撃だろう。電力停止期間も4日連続ということで、半導体の生産ラインを正常復帰させる手間とコストが相当かかるはずだ。サムスンはテキサスの独立に賭けていたのかもしれないが、思わぬ形で裏目に出ることになった。
米大寒波 韓国企業にも影響=工場の操業停止相次ぐ
2/19(金) 18:10配信 聯合ニュース
【ソウル聯合ニュース】米国を襲った記録的な寒波による大規模な停電で、韓国産業界も打撃を受けていることが19日、分かった。
業界によると、テキサス州オースティンにあるサムスン電子の半導体ファウンドリー(受託生産)工場は、16日(現地時間)から4日間にわたり操業を停止している。
オースティン市は、寒波による電力不足が深刻になると、サムスン電子などの半導体メーカーに電力の供給を中止すると通知していた。
サムスン側は、事前に通知があったため被害は大きくなかったとした上で、電力供給がいつ再開するかは連絡を受けていないと説明した。
米ルイジアナ州レイクチャールズにあるロッテケミカルの工場も16日から電力の供給が止まり、工場の操業を停止した。同社は今週中に操業を再開する方針だが、現地の電力供給状況にかかっているため先行きは不透明だ。
米国の寒波の影響は隣国のメキシコにも及んでおり、同国北部にある起亜の工場は17日夜から操業を停止した。
メキシコは電力生産の60%を天然ガスに頼っており、天然ガス消費量の70%以上を米国などから輸入している。寒波で米国内での電力消費が急増し、米国のガスの輸出量が減ったことで電力供給に問題が生じた。
このほか、メキシコ北東部にあるLG電子の工場も停電により15~16日の2日間稼働を停止した。同社は米テネシー州とアラバマ州の工場でも電力供給問題により16日に終日生産を停止した。
一方、サムスン電子の米国とメキシコの家電生産ラインは現在のところ正常に稼働しているという。
このサムスンの工場がどこ向けの半導体を製造しているのかは分からなかったが、稼働停止期間が数日にも及んだことから被害総額は1,000億円を超える可能性がある。半導体のラインは1日止まっただけでも数百億円の損失が出るからだ。2019年には日本からのフッ化水素が止まることで損失が発生するリスクが話題となっていたが、それよりもはるかにえげつない大停電という巨大なリスクが待ち構えていたのである。日本は一切関係ない。現実は厳しい。
そうでなくとも半導体不足なのに…北極になったテキサス、サムスンの工場も止まる
2/18(木) 8:04配信 中央日報日本語版
そうでなくとも供給不足に苦しめられる半導体市場に悪材料が重なった。寒波や地震などで大規模停電が起き世界各地の半導体工場が稼働を中断する状況が起きている。
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極東大学半導体装備工学科のチェ・ジェソン教授は「ナノプロセスを扱う半導体工場は生産ラインが止まると設備再点検などを経て生産環境を新たに作らなければならない。1日止まるだけでも数百億~数千億ウォンの被害が発生する可能性がある」と話した。2018年に京畿道平沢(キョンギド・ピョンテク)のサムスン電子半導体工場で停電が発生した時は30分間の稼動中断で500億ウォン台の損害を出したという。
業界では半導体供給不足が激しくなりかねないと懸念する。テキサス州オースティンに工場を置いたNXPは車両用半導体分野で世界1位、インフィニオンは世界2位だ。現在も車両用半導体不足でゼネラルモーターズとフォード、フォルクスワーゲンなど自動車メーカーで生産に影響が出ている。市場調査会社のIHSマーケットは車両用半導体不足により1-3月期だけで世界で100万台ほどの生産支障を予想した。
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