韓国への海外直接投資(FDI)が2年連続で減少した。13年ぶりのことだ。金融市場も安全地帯ではない。米国債金利が上昇の流れに乗って変動が大きくなった。
15日、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官主宰で開かれた対外経済長官会議で「対外分野実物・金融部門の動向点検および対応方向」が議論された。
韓国産業通商資源部の集計によると、昨年の海外直接投資は207億5000万ドル(現レートで約2兆2650億円)で、前年比11.1%減少した。2019年(-13.1%)に続き2年連続の下り坂だ。2005~2007年に3年連続で縮小して以来、初めてのことだ。
2018年に史上最多(269億ドル)を記録した海外直接投資は、2019年の国内外の景気鈍化、法人税減免終了の余波から減少に転じた。昨年は新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の直撃を受けた。
これまで着実に増えてきた韓国企業の海外直接投資も昨年を起点に減少に転じ、549億1000万ドルとなり、2019年比14.6%減少した。
海外資金流出の警告音も高まっている。米国政府の大規模な金融緩和(財政支出拡大)によるインフレ(物価高)の懸念から米国債金利が上昇気流に乗ったためだ。韓国など新興国に投じられた海外資金の先進国への「Uターン」を招く要因だ。
実際、ことし1月〔-2兆7000億ウォン(約ー2590億円)〕と2月(-3兆2000億ウォン)にかけて6兆ウォン近い海外の株式資金が韓国に流出した(純流出)。同期間、国内債券市場に海外の資金が10兆2000億ウォン純流入したが、市場の不安感はむしろ高まっている。
洪副首相は同日の会議で、「国債市場の場合、ことし国債量が増えた上、最近、米国債金利の上昇で、国内の国債金利にも影響を受ける様相」と診断し、「国債発行分散などにより市場の負担軽減および安定傾向が揺るがないように最大限対応していく」と述べた。続けて、「国際的流動性拡大に伴うインフレの可能性、米国債金利の変動など、最近の変化の要因について観察と対応力をさらに強化していく」と述べた。
新型コロナの無風地帯もある。海外受注だ。昨年351億ドルの海外事業を韓国企業が受注したが、前年比57.3%増加した。5年来最大の業績だ。アジア地域を中心に海外受注市場が回復したおかげだ。政府は、ことしも海外受注の300億ドルを突破を目的とし、これを後押しする「海外受注補強対策」をことし上半期中に用意する。
また、洪副首相は、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)加入を積極的に検討し、そのために水産補助金、デジタル通商、衛生検疫、国営企業の4大分野の国内制度整備を迅速に進めることにした」と述べた。