ポスコがミャンマーで軍系企業と提携して進行中のガス田・鉄鋼事業を終結することを検討している。ミャンマーでは2月、総選挙の結果に不満を抱いた軍部のクーデターが発生し、ポスコはその直後から「合弁事業が軍部の資金源になるおそれがあるため事業を撤収すべき」という指摘を受けてきた。
◆「ポスコの事業収益、軍部に入るおそれ」
6日のロイター通信によると、鋼板会社ポスコC&Cはミャンマー軍系企業のミャンマー経済持ち株会社(MEHL)との合弁会社として設立したミャンマーポスコC&C(MPCC)の全株式を取得するか、全株式を売却することを考慮している。現在、ミャンマーポスコC&Cの株式はポスコが70%、軍系企業(MEHL)が30%を保有している。
ポスコC&Cは「2017年から配当を中断している。状況によってはMEHLとの事業関係の見直しも考慮している」と明らかにした。クーデターで政権を握ったミャンマー軍部の民間人射殺が相次ぐと、バイデン米政権は最近、MEHLを制裁リストに含めた。
旧大宇インターナショナルから始めたポスコインターナショナルのミャンマーガス田事業も軍部の資金源という疑惑を受けている。21年前の2000年にポスコインターナショナルはミャンマー国営石油ガス会社(MOGE)と契約し、ミャンマー西側アンダマン海上のガス田を開発、天然ガスを販売している。ガス田事業の株式の51%はポスコインターナショナル、15%はMOGEが保有している。ミャンマー民主陣営は最近、「ガス田事業の収益がMOGEを経て軍部に流れている。事業を中断してほしい」と公式要請した。
ポスコインターナショナルは「ガス田事業と軍部は関係がない」という立場だ。ポスコインターナショナルは「ガス田事業は政権とは関係なく、民選政府の時代にも推進してきた。政権の変化によって軍部を支援するという主張は根拠も弱く、論理的でない」とし「ミャンマー政府に55%、事業参加会社に45%配分されている。収益金もミャンマー政府が管理する国策銀行に直接入金される」と強調した。
◆オランダ年金基金「ミャンマーから撤退を」
ロイターは消息筋を引用し、「ポスコは現在の鋼板事業から撤退する場合、ガス田事業にまで影響が及ばないか心配している」と伝えた。ミャンマーでの鋼板事業で生じた利益は20億ウォン水準だが、ポスコインターナショナルはガス田事業で約3056億ウォン(約300億円)の営業利益を出している。ポスコの投資家の国民年金はまだ立場を明らかにしていないが、オランダ年金基金(APG)はポスコのミャンマー撤退を要求している。2015年にサムスン物産-第一毛織の合併に反対したパク・ユギョンAPGアジア支配構造担当理事は「ミャンマー軍部は毎日、人を殺している」と批判した。