現代車蔚山(ウルサン)第1工場の「コナ」生産ライン 写真=現代車
1-3月期にサプライズ業績を記録して高速疾走した現代(ヒョンデ)自動車に、5月に入り赤信号が灯った。車載用半導体の供給問題で工場稼動が相次いで中断し、最近では大規模な米国への投資に労組が反発している。
◇アバンテやベニューの生産ラインも稼動中断
現代自動車は18日と20日に「アバンテ」と「ベニュー」を生産する蔚山(ウルサン)第3工場の稼動を中断する。エアバッグコントロール関連の半導体が不足しているためだ。現代自動車は「ツーソン」と水素電気自動車「ネクソ」を生産する蔚山第5工場の2ラインを17日に続き18日もストップした。先月には半導体需給難から「グレンジャー」「ソナタ」「コナ」などの生産に支障が出た。現代自動車は、蔚山第5工場は20日から、第3工場は21日から再稼働する計画だ。
現代自動車は先月から車載用半導体不足により週単位で在庫状況に合わせ生産台数を調整してきた。しかし車載用半導体需給難が長期化し、1-3月期のカンファレンスコール当時に懸念された「5月の苦境期」が現実化した格好だ。
現代自動車の出庫遅延にともなう消費者の不満も出ている。特に電気自動車補助金の支給枠が急速に埋まっており、「アイオニック5」の量産が遅れることで補助金をもらえなくなる可能性もあるとの懸念が大きくなっている。これに対し現代自動車は最近ユ・ウォンハ副社長名義の謝罪文を出したのに続き、納車を待つ顧客向けの支援策を検討しているという。
また、起亜(キア)もやはり特別勤務取り消しなどで生産日程を調整し、半導体不足が起きてから初めて17日から2日間「ストニック」と「プライド」を生産する光明(クァンミョン)第2工場の稼動を中断した。現代自動車と起亜は今月には車載用半導体の品薄がさらに深まるとみて対策に奔走しているが、これといった解決策を見いだせずにいる。業界関係者は「最近現代自動車業界内部で半導体の品薄が予想より長引くのではないかと懸念している。当初予想していた数万台以上の生産に支障が出る恐れがある」と話した。
車載用半導体の品薄現象は現代自動車と起亜だけでなく、世界の自動車業界の悩みだ。世界のリサーチ企業などは半導体の品薄が今年を超え来年まで自動車メーカーに影響を及ぼしかねないとの見通しを出している。フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)もやはり「当初20~40万台の生産への影響を予想したが、今年は110万台が生産に影響を受けるだろう」と懸念している。また、フォルクスワーゲン、トヨタ、メルセデス・ベンツなども今月に入り相次いで工場稼動を中断した。
◇米国への74億ドル投資計画に労組が反発
現代自動車はさらに労組とも摩擦を起こしている。金属労組現代自動車支部は最近現代自動車が発表した米国への74億ドル規模の投資計画に対し反発している。労組は17日に声明を出し、「労組と一言の相談もなく天文学的投資計画を使用者側が発表したことは5万人の組合員を無視する処置。国内工場を強化し第4次産業による新産業を国内工場に集中的に投資することが生きる道だ」と主張した。起亜労組もやはり情報誌で米国への投資計画に反対し、国内工場への投資を通じた雇用安定策を提示するよう促した。これに先立ち現代自動車は米国で来年から電気自動車を生産するため今年から2025年まで74億ドルを投資すると発表していた。