中国の電気自動車バッテリーメーカーCATLの角形バッテリー。[写真 CATLホームページ]
電気自動車時代を控え世界のバッテリー産業の構図が激変している。米国ではゼネラルモーターズ(GM)とフォードが現地に工場を建てたLG、SKとそれぞれバッテリーパートナーシップを締結した。露骨に自国企業を推す中国市場ではCATLやBYDなどが市場を占めた。北米と中国と並ぶ3大自動車市場である欧州では中国が大々的な現地投資を前面に出し韓国企業を追いかけ始めた。
◇CATL、ドイツに18億ユーロ投じて生産基地構築
31日の業界によると、独フォルクスワーゲングループのアウディの最新電気自動車「eトロン」シリーズにはLG、サムスン、そして中国CATLのバッテリーが搭載された。電気自動車発売初期にはアウディはLGとサムスンのバッテリーを使っていたが、最近ではCATLの納品比率が増える傾向だ。中国製バッテリーは韓国製に比べ単価が20%ほど安く、欧州から中国に車を輸出する際もCATLのバッテリーが有利なためだ。すでに世界のバッテリー販売台数世界1位に上がったCATLがシェアを上げ続けている理由だ。
CATLは最近旧東ドイツ地域のテューリンゲン州に総額18億ユーロを投じて生産拠点を設けている。自動車メーカーの生産戦略である「現地生産・現地消費」に最適な条件を作るためだ。今年末から本格稼動に入り年間1400万キロワット時のバッテリーを生産し、2025年には年間1億キロワット時まで増設する計画だ。1億キロワット時はLGエネルギーソリューションの欧州での生産規模7000万キロワット時を大きく上回る。80キロワット時バッテリーが入った電気自動車を約125万台作れる規模だ。CATLがドイツに工場を作るのは、ポーランド(LGエネルギーソリューション)やハンガリー(サムスンSDI、SKイノベーション)にある韓国企業より有利な拠点を確保しようという判断も作用したとみられる。
CATLはすでにドイツで主要自動車メーカーと強固な協力関係を結んでいる。メルセデス・ベンツの親会社である独ダイムラーグループは昨年8月にCATLと戦略的パートナーシップを締結した。両社は走行時のバッテリー容量最適化、エネルギー密度改善など研究開発も共同で進めている。ベンツの最新電気自動車「ザ・ニューEQS」にもCATLのバッテリーセルが使われた。CATLがバッテリーセルを供給すれば、ダイムラーのシュツットガルト工場でバッテリーを完成品にした後、ベンツの電気自動車に搭載する。
BMWも2019年11月にCATLと73億ユーロ規模の角形バッテリー契約を締結した。BMWは2013年に初めての電気自動車「i3」を発売した当時にはサムスンSDIのバッテリーを使っていたが、最近になりCATLに注文量を増やした。3月に「角形バッテリーを標準に使う」と発表したフォルクスワーゲンもやはりCATLとの契約規模を増やしつつある。薄膜形態のパウチ型バッテリーに長所があるLGとSKとは違い、CATLはフォルクスワーゲンが採択した角形バッテリーを主力製品として前面に出している。
◇テスラも欧州ではCATLを選択
米国企業のテスラもベルリンのギガファクトリーで生産する電気自動車にCATLのバッテリーを搭載すると発表した。CATLのドイツ工場は来年初めに稼動予定のテスラのギガファクトリーと約320キロメートル離れている。テスラの既存のパートナーだったパナソニックは昨年10月に北欧のノルウェーに円筒形バッテリー工場を作ることに決めた。欧州内に工場がなく競合企業に奪われたテスラ向けの生産量を取り返すための試みだ。スウェーデンの市場調査会社EVボリュームズによると、欧州は昨年電気自動車140万台が売れ、中国の市場規模である130万台を超えた。欧州の厳格な炭素排出規制により自動車メーカーが先を争って電気自動車販売を増やしたおかげだ。
欧州地域で韓国企業と中国企業がバッテリー増設競争を繰り広げているのは、米国市場と中国市場はすでにバッテリー市場の構図が固まったためでもある。米中の覇権競争により米国のGMとフォードは韓国のLGとSKをそれぞれパートナーに決めた。LGとSKはそれぞれ米国のラストベルト(衰退した工業地域)とサンベルト(北緯37度以南の南部)にバッテリー工場を作り、米国に進出したドイツや日本の自動車メーカーとの協力も広めていくという計画だ。
◇フォルクスワーゲンも欧州・中国でCATLのバッテリー
中国では自国企業が生産したバッテリーを搭載した電気自動車にだけ補助金を与える政策により、韓国製バッテリーは力を失っている。中国のバッテリー・電気自動車企業が加入する中国汽車動力電池産業創新連盟によると、昨年CATLの中国シェアは50%、次いでBYDが14.9%を占めた。フォルクスワーゲンも米国ではSKからバッテリーを供給されるが、中国ではCATLのバッテリーを搭載する。中国に進出したSKの場合、中国政府の補助金を受けるため現地企業のEVEエネルギーと49対51の比率で合弁する形で厳しい戦いをしている。
大林(テリム)大学自動車学科のキム・ピルス教授は、「世界市場攻略のためには韓国のバッテリーメーカーや現代自動車が欧米で現地化体制を構築することが前提条件になった。韓国を大量生産基地とする戦略はこれ以上通じないため、韓国のバッテリー工場は結局半導体のようにマザーファブの役割に進むのが効率的」と診断した。マザーファブは、生産規模は少ないが高付加価値技術を先行的に導入する所だ。バッテリー生産は自動車メーカーの工場の近くに行き現地で作るほかない状況ということだ。