韓国労働組合総連盟レミコン運送労働組合が最近首都圏の約100社のレミコン業者に公文書を送り、「運送費を前年より15%上げてほしい」と要求したことがわかった。全国民主労働組合総連盟建設労組は9日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)前で記者会見を行い、「政府はレミコン運送車両に対する参入規制(需給調節)を現状維持しなければならない」として今月末か来月初めにレミコン運送業者のストを予告した。
全国900社余りのレミコン業者と運送費引き上げを要求する2万人余りの運送業者が対立し今年もストとこれに伴う建設工事中断、工期遅延による影響などが相次ぐ見通しだ。
◇レミコン業界「追加引き上げの余力ない」
今月のレミコン車両運送費引き上げ交渉と来月の国土交通部需給調節委員会のレミコン運送車(コンクリートミキサー車)の新規参入制限の可否決定を控えてレミコン業界の緊張が高まっている。首都圏レミコン運送労組を掌握した韓国労総と釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・慶尚南道(キョンサンナムド)地域を掌握した民主労総は、スト競争など労働団体間の争いになる兆しも見せている。
レミコン業界は昨年の新型コロナウイルス流行にもかかわらず、違法ストにともなう影響のためやむを得ず運送費を首都圏基準で12.1%引き上げただけに今年は追加引き上げの余力はないという立場を守っている。
韓国レミコン工業協同組合連合会によると、2009年と比べ2020年のレミコン価格は10.5%引き上げられているのに対し、運送費は68.6%高騰した。あるレミコン業者社長は「運送費が原価全体で占める割合は過去には15%水準だったのに、いまは核心原材料のセメントと同水準の30%まで上がってきた。これ以上運送費が高まれば工場稼動を止めるほかない」と話した。レミコン業界の97%は中小企業で、現在平均工場稼動率は19%水準まで落ちているという。
業界によると、運送費引き上げを掲げた労組の違法ストの影響で最近京畿道(キョンギド)地域のレミコン業者2社が廃業し、近くもう1社が追加で廃業する予定だ。韓国レミコン工業協同組合連合会のペ・ジョウン会長は「昨年違法ストにより業界が数百億ウォンの損失を出した」と話した。
レミコン業界は強力な法的対応まで予告している。3月から江原道原州(カンウォンド・ウォンジュ)と全羅南道霊光(チョンラナムド・ヨングァン)では運送業者などの違法ストによりレミコン工場の稼動が1カ月ほど中断する事態が発生したことを受け、数億ウォンの損失を出した業者社長が現場を占拠した組合員を業務妨害容疑などで告訴した状態だ。あるレミコン業者社長は「労組が現場営業を妨害しレミコン運送車両の移動を防ぐのに警察は全く介入しないでいる。職務放棄容疑で警察を告訴し、労組側にも損害賠償訴訟を提起することを検討している」と話した。
◇労組「生計困難な水準」
国土交通部は来月、運送業者を保護するために12年にわたり新規登録を中止していたレミコン運送車に対する需給調節の可否を決める。民主労総はこの日の記者会見で「レミコン資本は労働者保護制度として機能してきた需給調節制度を廃止しようとしている。政府の方針によりレミコン業界のストを計画している」と明らかにした。
レミコン運送業者は現在の運送費では生計が厳しく引き上げは避けられず、新規参入は防がなければならないと主張した。民主労総が先月組合員1000人余りを対象に調査した結果、レミコン運送業者1人が1カ月平均300万~400万ウォンを稼ぎ、車の割賦金として150万ウォンほどを使っていることが明らかになった。
究極的にこうした問題を解消するには建設業界もレミコン納品価格引き上げを受け入れなければならないという指摘が出る。あるレミコン業者社長は「韓国のレミコン価格は立方メートル当たり6万ウォン台で、ほとんどが10万ウォン台を超える米国、日本、台湾に比べて低く、経済協力開発機構(OECD)加盟国で最低水準」と話した。