大邱の繊維工場社長のハンさんは「中東からオーダーが結構入ってくるのに週52時間勤務制のためこなせない。それでも従業員を増やせば人件費もまかなえない。最近はコロナで国内からの注文が減り、また海上運賃が急騰して到底利益を出すのは容易でない」とした。彼は「私たちのような業者のこうした厳しい状況はみんな無視して最低賃金ばかり上げてどうするのか。最近中小企業をする人は会えばいつも『いつやめるべきか』を議論する。これが正常なのか」と声を高めた。
中小企業と小商工人は「来年の最低賃金を現場では到底耐えられる余力がない。結局は雇用を減らすほかない」と訴える。昨年も最低賃金の急な引き上げに新型コロナの衝撃まで襲い11年ぶりに中小企業の雇用30万件が消えたという(中小企業中央会)。
◇昨年の中小企業雇用30万件消える
中小企業中央会は「実際に中小企業はいま厳しい。今年最低賃金さえ手にあまるという中小企業が40%に達し、中小企業のうち約半数の47.8%が借り入れしながら経営している」と明らかにした。5月に中小企業中央会が600社の中小企業を対象に調査した結果だ。中小企業中央会関係者は「来年にはまたどれだけ多くの雇用が中小企業から消えるのか恐ろしい」と話した。
また、中小企業は最低賃金が上がる場合、政府は月給与(実労働)基準の引き上げ分だけ考えるが、企業が実際に負担すべき人件費は目に見える引き上げ分よりはるかに多いと主張する。例えば今年の最低賃金は8720ウォンで月給与(実労働)基準では152万ウォンだ。だが企業が実際に負担する人件費は週休手当てに退職金、4大保険料などを含めこれより33%多い227万ウォン水準という。したがって来年も最低賃金引き上げ分だけでなく追加で33%の人件費負担が発生するというのが中小企業中央会の説明だ。
韓国経営者総協会(経総)はこの日「最低賃金引き上げで社会的弱者層の労働者が労働市場の外に押し出される危機を迎えるだろう」と指摘した。経総はしたがって「今回の最低賃金引き上げで最低賃金労働者の約83%が従事する従業員30人未満の事業所が致命的な追加負担を抱えることになった。韓国政府は国民経済への副作用を軽減させる対策を急いで用意しなければならない」と促した。
大韓商工会議所も「政府は最低賃金が経済全般に及ぼす否定的影響を最小化するために雇用安定資金拡大など支援対策を速やかに用意すべき」と強調した。
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