脱原発政策が推進されるまで韓国の原発設計・施工能力は世界最高と見なされた。昌原斗山重工業工場を中心に核心原発協力企業がクラスターを構築したおかげだ。しかし脱原発政策で新規原発建設が白紙になり、斗山重工業の原発建設事業は中断され、当然、原発協力企業が斗山に納品する契約も消えた。生態系が機能しなくなったのだ。
韓国原子力産業協会によると、国内原子力供給産業体の売上高は2016年の5兆5000億ウォンから2019年には3兆9300億ウォンへと28.5%減少した。同じ期間、原子力供給産業体の従事者は12.8%減少した。
生態系の中心に立つ斗山重工業も厳しい状況を迎えているのは同じだ。金融監督院の公示によると、斗山重工業の売上高は別途財務諸表を基準に2016年の4兆7100億ウォンから昨年は3兆3500億ウォンに減少した。
今年1-3月期に斗山重工業が7期ぶりに黒字転換するなど業績は改善している。しかし脱原発政策のためにやむを得ず施行した名誉退職や環境事業への転換など構造調整の結果という分析だ。斗山重工業は昨年3月、「原子力・石炭火力発電プロジェクトが中止になり、10兆ウォン規模の受注物量が消えた」と伝えた。
脱原発政策は民間企業だけでなく韓国電力(韓電)、韓国水力原子力など発電公企業の経営にも直接的な打撃を与えた。炭素排出が最も少なく発電費用が低い原子力の使用を人為的に減らし、費用がかかる液化天然ガス(LNG)、再生可能エネルギーの使用を増やしているからだ。韓電の負債比率は2016年の143.4%から昨年は187.5%に増えた。昨年は新型コロナで輸入原油など発電に必要な燃料価格が急落し、一時的に実績が回復したが、今年はまた燃料費が上昇して実績が悪化する見込みだ。
問題は発電公企業の業績悪化が続く場合、電気料金引き上げ圧力が強まるうえ、国内企業の海外原発市場進出も難しくなるという点だ。原発のような大規模な施設は公企業と民間企業、政府が一つのチームを組んで海外受注競争をするが、公企業の状況が悪化すれば原発運営能力の対外的信頼度が落ちるしかない。
中央大エネルギーシステム工学部のチョン・ドンウク教授は「炭素中立目標が世界的な流れとなり、原発市場が爆発的に成長すると予想される」とし「しかし脱原発政策のために韓国企業の状況は厳しくなっている」と診断した。
韓経:「韓国、脱原発あと5年続けば…米国のように組み立てもできない国に」(1)