大学入学共通テストの受験生ら3人が刃物で襲われた現場周辺(15日午前9時49分、東京都文京区の東京大学で)=三浦邦彦撮影
15日午前8時半頃、東京都文京区弥生の東京大学農学部正門付近の路上で、大学入学共通テストを受験するため同大を訪れた18歳の高校生の男女2人と同大関係者とみられる男性(72)が突然、男に次々と刃物で背中を切りつけられた。警視庁によると、高校生2人は軽傷とみられるが、男性は重傷。警視庁は近くにいた名古屋市の高校生の少年(17)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕し、状況を調べている。
【写真】着火剤のようなものが投げ込まれた南北線東大前駅の改札付近
警視庁幹部によると、少年は持っていた刃物で3人の背中を切りつけるなどし、殺害しようとした疑い。捜査関係者によると、前を歩いていた高校生2人に突然、後ろから切りつけたという。
現場は東大弥生キャンパスにある農学部の正門付近。同キャンパスはこの日に行われた大学入学共通テストの会場で、高校生2人はともに千葉県に住む高校3年の受験生だった。
切られた男性は都内在住で自ら約70メートル先の交番に「刺された」と伝えたが、その後に容体が悪化し、緊急手術を受けている。
警視庁の調べに、少年は「3人を切ったのは間違いない」と容疑を認めている。付近で血のついた包丁が見つかり、警視庁は凶器とみて調べている。
一方、少年は「周辺で火をつけた」という趣旨の供述もしている。事件直前、現場近くの東京メトロ南北線東大前駅の改札付近で、着火剤をまいて火をつけられる事件があり、警視庁が関連を調べている。
現場の農学部正門付近は規制線が張られるなどしたが、大学入試センターによると、弥生キャンパスを含む東大本郷試験場では予定通り午前9時半から大学入学共通テストを実施した。同試験場では2日間で約3700人が受験する予定になっている。
東大本部広報課は「事件の詳細を確認中で、わかり次第、警備などの対応を検討したい」と話した。