大津市の交差点で5月、散歩中に信号待ちをしていた保育園児らの列に車が突っ込み、16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの罪に問われた無職、新立(しんたて)文子被告(53)の論告求刑公判が10日、大津地裁(大西直樹裁判長)で開かれ、検察側は禁錮5年6月を求刑して結審した。判決は来年1月16日。
検察側は論告で「遺族や被害者に与えた影響は計り知れず、被害結果は極めて重大」と指摘。「対向直進車の有無を確認せずに右折した運転は危険性が高く無謀」と述べた。一方、弁護側は最終弁論で「不幸な偶然が重なり合った事故で、全てを被告の責任にするのはあまりに酷だ」と、量刑への配慮を求めた。
論告に先立ち、事故で犠牲になった伊藤雅宮(がく)ちゃん=当時(2)=の父親が被害者参加制度を利用して意見陳述。「ある日突然、子供を奪われたつらさが被告に分かるか。加害者ではなく、被害者のための判決を望む」「子供の無念さはいかばかりか」などと涙ながらに訴えた。
新立被告は最終意見陳述で「事故と向き合い、一生罪を償う。心からおわびする」と謝罪した。
起訴状によると、新立被告は5月8日、大津市内の交差点で注意を怠ったまま右折し、対向車線を直進してきた軽乗用車に衝突。弾みで軽乗用車が保育園児らの列に突っ込み、園児2人を死亡させたほか、園児と保育士計14人に重軽傷を負わせたなどとしている。