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長野・松本市の業者による犬の虐待事件。市内2カ所の施設で飼育されていた犬は900匹余り。その後、劣悪な環境で飼育し虐待していたとして、元社長が逮捕・起訴された。起訴状では469匹を衰弱させたとされている。この事件、なぜ、防げなかったのか…
【画像】杉本彩さんに聞く「ペットビジネス」の闇
今回、松本の獣医師と連携し、業者を刑事告発した団体がある。動物愛護の啓発や提言をしている「動物環境・福祉協会Eva」。理事長の杉本彩さんに背景や今後の課題などについて聞いた。
命を大量生産・大量流通…非人道的ビジネス
(Q.今回の事件を受けて)
衝撃が大き過ぎて最初は言葉を失った。日本のペットビジネスの構造がわかってはいたが、すごく非人道的で、存在してはならない非人道的なビジネス。私たちが理解している以上のひどさと改めて痛感した
(Q.今回の事件、特に何が問題か?)
命というものを大量生産・大量流通しているペットビジネスの構造が本当に無理があって、これは動物の痛み・苦しみ・犠牲なしには成立しないビジネス。それがより明らかになったと感じた
(Q.どういう経緯で今回のことを知ったのか?)
元従業員があの劣悪な環境の現状に心を痛め、これは何とかしなければいけない、犬が本当にかわいそうだと行政や警察、地元の動物愛護団体に現状を相談していた。
その前に、行政はこう言ったことを指導して改善させる、改善できなければ行政処分で営業停止を下すことができるのに、結局そういう行政の責務を全く果たさずに、ずっと更新させていたということに対して、元従業員の方が非常に疑問に感じて、地元の行政や警察、動物愛護団体に相談した。
それでも全く反応が薄くて、物事が全然動かなかった。それで元従業員から相談を受けた獣医師の方から、当協会に現状を通報してくださったという経緯です
「行政の責任は大きい」
(Q.元従業員の証言を聞いてどう感じたか?)
この状況で30年間も営業していた、この30年の間にいくらでも犬たちの悲劇を終わらすことはできたはず。これを見て見ぬふりと言われてもおかしくない。行政の業務怠慢が本当に大きな罪、責任があると感じた
(Q.刑事告発も協会で行ったのか?)
当協会が刑事告発して、ようやく警察が動き出した。捜査に入った話を聞くと、本当に地獄絵図のようだと感じた
(Q.行政の対応について)
適正な飼養管理ができていないわけなので、それに対して注意して改善させることがまず行政の最初の業務だが、注意は形だけで口頭で終わってしまっていて、その後、しっかり改善されたかを確認もなされていなかった。
業者のオーナーは完全に行政をなめ切っている。
行政は数年間、部署に滞在して数年後には異動するという体制で動いている。自分がそこのポジションにいる間は積極的な行動をするわけでもなく、何事もなく異動していけばいいやという気質が行政の中であって、業者のオーナーもそのことを理解しているから完全になめ切っていた。
そういう発言もオーナーがしているというのは元従業員が耳にしていて、いかに行政の指導が形だけのものだったかとうかがい知ることができる。
重く問題視していなかったから、5年ごとの業務の登録更新を平気でさせていたことがそもそもの問題