木片などが焼けるぼやがあった東大前駅の改札付近(15日午前10時43分、東京都文京区で)=三浦邦彦撮影
(写真:読売新聞)
東京都文京区の東京大学前で大学入学共通テストの受験生ら3人が刺されて重軽傷を負った事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された名古屋市の私立高校2年の少年(17)が事件直前、東京メトロ南北線の車内で放火を図ったと供述していたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁が状況を調べている。
警視庁幹部によると、15日午前8時半頃、共通テスト会場だった東大弥生キャンパス前の歩道で、高校3年の男女2人と豊島区の男性(72)が包丁で背中を刺された。このうち重傷の男性は通行人だった。
捜査関係者によると、少年は夜行バスで上京し、15日午前6時頃に東京駅に到着。地下鉄で移動し、いったん現場の東大前付近を下見したとみられる。
その後、いずれかの駅で南北線に乗車し、午前8時半前に東大前駅で下車。この前後に、少年が乗っていた6両目の乗客が床に流れ出た不審な液体に気づき、駅員に通報していた。
少年は逮捕後の調べに「液体を染みこませたリュックを電車内で燃やそうとしたが、うまくいかなかった」と供述。車内にリュックが放置されており、警視庁は可燃性のエタノールを使ったとみている。
東大前駅構内の防犯カメラには、少年が改札口付近などに着火剤で火をつける様子が映っていた。構内で起きたぼやは約10か所に上っていたという。地上に出て3人を襲い、取り押さえられた際、瓶などに小分けした可燃性の液体約3リットルを所持していた。
少年は「成績が上がらず悩んでいた」と供述したという。少年が通う私立高は16日、「勉学だけが高校生活のすべてではないという学校のメッセージが届かず、反省している」とした。少年の父親も弁護士を通じて「(被害者に)心より申し訳なくおわび申し上げます」とのコメントを出した。