「全身真っ黒に…」命懸け、消火続けた祖父犠牲に 5人死亡火災


「全身真っ黒に…」命懸け、消火続けた祖父犠牲に 5人死亡火災

炎が上がり、激しく燃える民家=7日午前7時10分ごろ、福岡県嘉麻市下臼井(読者提供)

【写真】勤め先の車には、亡くなった坂本憲介さんの帽子や工具箱が置かれていた

 7日朝、福岡県嘉麻市の住宅街で4人の遺体が見つかった火事現場。週末を共に過ごした「仲良し家族」を猛火がのみ込んだ。駆け付けた親戚や近所の住民らはなすすべなく、焼け崩れる家屋を見守るしかなかった。

 「全身真っ黒になって水を掛けていた」。ボンボンと大きな音が響いた現場で、必死に火を消そうとする坂本さんを見たという近所の男性(72)は証言する。大やけどを負い、担架で運び出されながらも「大丈夫、大丈夫…」と周囲に気を配っていたと、別の住民も明かす。午後1時28分、坂本さんは搬送先の病院で息を引き取った。

 「孫を家族全員でかわいがり、まるで漫画『サザエさん』のような、うらやましいほどの仲良し家族だった」。一家を知る近所の女性(31)は話す。息子が孫と同じ保育園に通っており「息子に(火事のことを)伝えるのがつらい」と声を詰まらせた。

 近所の田中末勝さん(68)は年末年始に、坂本さんが孫の三輪車を押すのを見掛けた。火災前日に会った際、坂本さんは「仕事は朝早くて大変だけど、孫のために頑張らないと」と話していたという。

 (大橋昂平、坂本公司)



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