「タチバナタカシ」と言えばNHK党の立花孝志?…日本の記者の「知的レベル低下」を象徴する残念エピソード


【写真】佐藤優氏

■オフレコなのに“盗聴”する新聞記者

 【舛添要一】私は厚労大臣時代、新聞記者たちと定期的に開いていた記者懇(記者懇談会)を途中でやめました。記者たちがルールを守らなかったからです。記者懇のルールとは当たり前ですが、「大臣が話したことは完全なオフレコであって報道しない」とするものです。しかし、私の発言内容がいつのまにか週刊誌に流れてしまう。そんなことがたびたび起きたのです。

 大臣には10人くらいの番記者がいます。私は彼ら・彼女らと、ランチを食べながら記者懇をしていました。私が食事代を奢ると問題になりますから、割り勘です。食事がてらの懇談会が終わると、早い場合は夕方には私の話がどこかに流れている。なぜか。

 彼らは胸ポケットに、ペン型のICレコーダーを忍ばせていたのです。盗聴ですよね。そして自分の会社に帰るや否や、録音した音源を書き起こして外部に流す。オフ・ザ・レコード、すなわち「記録に残さない」というオフレコのルールは完全に破られました。

■新聞・テレビの影響力が落ちている

 私の話を漏らした新聞記者が、週刊誌からどれほどの報酬を得ていたかは知りません。また、誰が“犯人”なのか、およその目星はつくけれども、10人もいれば特定するのは難しい。だったら、いっさいやめてしまおうと記者懇をなくしたわけです。

 もちろん番記者自身が漏らさなくても、報告を受けた上司のデスクが漏らすケースもあります。しかしオフレコとは、デスクにも上げないでくれという意味ですから、そのルールを守れない記者は失格だと思います。

 SNSの発達・普及と反比例するように、オールド・メディアの記者たちの質が落ちた気がします。そう言えば、斎藤元彦さんの再選挙で、投票行動に影響したのはSNSや動画サイトが30%、新聞・テレビが24%だったとの世論調査結果が出ていましたね。いかに既存のメディアの影響力が落ちたか、記者の質が劣化したかを物語っているのではないでしょうか。



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