かこちゃんと「モンキーちゃん」。奥は島田拓さん。「オンラインワンオペ育児体験」の様子
連載『父親のモヤモヤ』
ある平日の夕方。会社員の大里真一朗さん(29)は、かこちゃん(2)とおままごとをしていました。かこちゃんが「どうじょ!」と差し出した〝ごはん〟に、大里さんは「ハンバーグおいしいよ」と応えます。どこにでもありそうな、おままごと。ただ、これはオンラインで行われ、2人は親子ではありませんでした。ちょっと混乱してしまうこの状況は、企業が男性育休を推進するために試みた、プロジェクトの一場面だったのです。(朝日新聞記者・高橋健次郎)
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ワンオペを体験
冒頭の場面は、転職サービス「doda」などを展開するパーソルキャリアが実施した「オンラインワンオペ育児体験」の一コマです。
子どものいる「パパ管理職」は自宅で「ワンオペ」を体験。子育て経験のない「チャレンジ管理職」はオンラインでワンオペの様子をうかがう一方、「パパ管理職」が食事の準備をしている時間などに、子どもと遊ぶことでフォローする――。そんな試みです。
大里真一朗さん(29)は、「チャレンジ管理職」。かこちゃんは、「パパ管理職」の島田拓さん(37)の娘、島田夏瑚ちゃん(2)です。
管理職から変える
パーソルキャリアでは 1月31日から2月14日まで「男性育休推進 ワーパパ体験プロジェクト」を実施中で、このワンオペ育児体験もプロジェクトの一環です。
プロジェクト全体では、約2週間にわたり、同社の男性管理職6人が、午後5時に仕事を切り上げたり、時短勤務をする社員にインタビューしたりしています。
同社の男性育休取得率は、今年度で約5割。会社が「推奨」する一カ月以上の人は15%です。プロジェクトを通じて仕事と家庭の両立のリアルを知ってもらい、育休取得を促すねらいがあると言います。ほかにも、「時間制約のある働き方」(同社)を通じて、マネジメントを見直してもらう意図もあります。
切り札はアンパンマンの指人形
取材は2月1日。「オンラインワンオペ育児体験」の初日で、記者もオンラインで視聴しました。
午後5時に始まると、「変な汗をかいた」という「チャレンジ管理職」の大里さんは、半袖姿で登場しました。壁紙をキャラクターモノにしたり、かこちゃんが好きな「アンパンマン」の指人形を準備したり。「うまくできるのか、不安でしたので…」
「パパ管理職」の島田さんは、保育園にいるかこちゃんのお迎えに行って帰宅すると、夕食の準備に取りかかりました。
それから、約2時間。島田さんが夕食の準備や片付けなどの家事をしている間、大里さんは、かこちゃんのお気に入りのぬいぐるみ「モンキーちゃん」もまじえて、おままごとをしたり、図鑑を読んだり、「切り札」と呼ぶアンパンマンの指人形で遊んだりしました。
かこちゃんも「しんちゃん」と呼び、楽しそうに遊んでいました。