警察庁の発表によると、日本国内のオンラインカジノ利用者数は推計約196.7万人、年間賭け額は約1兆2423億円に達しています(2025年1月公表)。この規模の急拡大に伴い、オンラインカジノ(通称オンカジ)の違法性が指摘されるだけでなく、深刻な社会問題として浮上しています。こうした状況下、オンラインカジノが利用できる「店舗型」の施設が摘発され、店舗関係者と利用客が逮捕される事態が発生しました。
歌舞伎町のオンラインカジノ店摘発、利用者も現行犯逮捕
2025年6月、警視庁組織犯罪特別捜査隊は、東京都新宿区歌舞伎町のインターネットカジノ店Xを摘発しました。ビルのフロアを間借りした店舗で、客に室内に設置されたパソコンを使って「オンラインカジノ」を利用させたとして、店の責任者や従業員ら5人が現行犯逮捕されました。この摘発では、同時に20代から80代までの男女7人の利用客も現行犯逮捕され、逮捕者計12人全員が容疑を認めているといいます。
この「店舗型インターネットカジノ店」という業態は、一見奇妙に思えるかもしれませんが、実際にはオンラインカジノを利用させることを目的に開設された実店舗です。
警視庁がオンラインカジノ店摘発時に押収したパソコンなどの証拠品
「自宅より安心」店舗型オンカジを利用した男性の告白
過去にこの歌舞伎町の店舗型オンカジ店を利用した経験を持つ会社員男性が、その動機を語っています。男性が店を訪れたのは、コロナ禍の真っただ中である2022年ごろのことでした。「雑居ビルの一室で、外から見てもカジノ店があるとは絶対に分からない作りでした。入り口には複数の防犯カメラがあり、入店には事前の連絡と運転免許証などの顔写真付き身分証の提示が必須でした」と男性は振り返ります。
男性が店舗型を利用するようになったのは、自身のスマートフォンやパソコンから海外サイトへ直接アクセスするよりも「安心」できると考えたからだといいます。ここでいう「安心」とは、海外サイト接続による個人情報流出などのリスクが小さくなる、という彼自身の認識でした。男性は以前、日本国内のバカラやポーカーなどの地下カジノ店に通っていましたが、それらが摘発されて以降、新たな場を探していました。「当時はまだ、スマホで海外のオンカジにアクセスするのは心理的に抵抗があり、店舗型なら”安心”だと思ったんです。SNSの広告やカジノ系のインフルエンサーの書き込みで店を知りました。怪しいとは思いましたが、裏カジノ経験があったので…」と男性は続けます。
利用者の「グレーだけど合法」認識と日本の違法性
男性は、違法な地下カジノ店を利用することが罪であることは理解していました。しかし、海外のオンラインカジノサイトの利用については「グレーだけど合法」と認識していたと話します。しかし、今回の摘発では、店舗側だけでなく利用客も現行犯逮捕されており、これは海外サイトであっても日本国内から接続して賭博行為を行うことの違法性が問われる事例と言えます。警察当局はオンラインカジノを巡る問題に対し、提供側だけでなく利用者側への取り締まりも強化しており、「グレーゾーン」という認識は通用しなくなりつつあります。
結論:社会問題化するオンカジ利用への警察当局の姿勢
急拡大するオンラインカジノ市場は、既に看過できない社会問題となっています。今回の店舗型施設の摘発と利用者逮捕は、警察当局がオンラインカジノの提供だけでなく、その利用行為自体も積極的に取り締まる姿勢を明確にしたものです。利用者側が持つ「海外サイトだから安心」「グレーゾーン」といった認識は、逮捕のリスクを伴う危険な誤解であり、日本国内からのオンラインカジノ利用は違法行為として厳しく取り締まられる可能性が高いことを改めて示しています。