福島県沖で発生した最大震度6強の地震について記者会見する気象庁の中村雅基・地震火山技術・調査課長=2022年3月17日、池田知広撮影
宮城、福島両県で震度6強を観測した16日夜のマグニチュード(M)7・4の地震について、気象庁は17日未明の記者会見で、日本列島が乗る陸側のプレートの下に沈み込んでいる太平洋プレートの内部で発生したとの見解を明らかにした。震源が深さ57キロと深かったため、広範囲で揺れが観測されたとみられる。
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2011年3月11日の東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震は二つのプレートの境界面(深さ約24キロ)で起きた。その2日前には今回と同規模のM7・3の地震がプレート境界で発生していた。
11年前と同様、今回の地震はより大きな地震の「前震」なのだろうか。だが、今回の震源は境界面より深いプレート内部と考えられる。気象庁の中村雅基・地震火山技術・調査課長は「今後より大きな地震が発生するかは分からないが、東北地方太平洋沖地震の事例とは少なくとも違う状況だ」と説明した。
今回の震源付近では昨年2月13日にもM7・3、最大震度6強の地震があった。その時も沈み込む太平洋プレート内部の地震だった。気象庁は「今回の地震との関係は不明」としているが、松沢暢(とおる)・東北大教授(地震学)は「どちらも同じ逆断層型のプレート内地震で、深さも規模もほぼ同じ。昨年2月の地震の震源域のすぐ北東のプレート内部が今回壊れたのではないか」とみる。
東京大地震研究所の古村孝志教授(地震学)は「今回の震源域は元々、M7~7・5の地震が約40年に1回の頻度で繰り返す地震活動が活発な地域とされている。それに加えて、東日本大震災の余震も活発で、地震が非常に多い状況が続いている」と注意を呼びかける。
政府の地震調査研究推進本部は、日本海溝で沈み込んだプレート内部で発生する地震について、今後30年以内にM7~7・5の地震が発生する確率を60~70%と見積もっていた。ただし、東日本大震災後は同様のメカニズムの地震が相次いでおり、実際の確率はもっと高い可能性があるという。【池田知広、垂水友里香、渡辺諒】