暴風の影響で横転したとみられるトラック(26日午後5時37分、富山市吉岡で)
日本海にある発達した低気圧の影響で、26日の富山県内は午前中から春の嵐となった。電車の運休が相次ぐなど交通網は大きくマヒし、複数の家屋に延焼する火災も発生。各地で停電も相次いだ。県内の各消防によると、午後8時現在、風にあおられ転倒するなど、けが人が少なくとも7人確認された。
強風の影響で向きが変わった信号機(26日、富山市小中で)
富山地方気象台は同日午前4時過ぎから午後6時半頃まで、県内全域に暴風警報を発令。富山市八尾では午後1時58分、観測史上最大となる35・7メートルの最大瞬間風速を記録。そのほか上市町で30・7メートル、富山市秋ヶ島で26・2メートルなど、計4地点で3月の記録を更新した。
この暴風で公共交通機関は大きく乱れた。JR東日本によると、午後0時40分頃、北陸新幹線の飯山―上越妙高駅間に設置された風速計が規制値に達したため、長野―富山駅間で運転を見合わせた。午後6時に運転を再開したものの、上下線で計13本が運休、約9800人に影響が出た。
あいの風とやま鉄道は午後8時5分現在、計67本の運転を取りやめ、JR高山線でも午前9時以降、計39本を運休した。
中日本高速道路によると、午前中から北陸自動車道の富山インターチェンジ(IC)―滑川IC間が通行止めとなり、午後8時半に全面解除となった。
停電・火災も発生
複数の建物に延焼した火災現場(26日午後3時、小矢部市浅地で)
また、北陸電力送配電によると、午後7時半現在、富山市で約530戸、砺波市で約360戸、小矢部市で約30戸など、計約1900戸が停電している。
火災の被害も拡大した。午後0時55分頃、小矢部市浅地で、「浅地神社から火が出ている」と119番。小矢部署などによると、強風で神社の周囲の住宅などにも延焼し、計9棟が燃えた。けが人は確認されていない。
現場周辺では、自宅への延焼を恐れた住民らが不安な様子で見守った。近くのアルバイト男性(69)は「サイレンが聞こえて外に出たら火が見えた。風が強く、火が別の建物にどんどん燃え移っていって怖かった」と話した。同市は防災無線で付近住民に避難を呼びかけ、現場近くの藪波スポーツセンターに避難所を開設。70代主婦は「こんな強風も火事も、経験したのは初めて。早く家に帰りたい」と語った。
南砺市高瀬の国道471号では、バイクに乗っていた市内の男性(54)が転倒して重傷を負った。南砺署は、強風にあおられた可能性もあるとみて、事故原因を調べている。