大学入学共通テストの試験会場に向かう受験生たち(1月15日、東京・文京区の東京大学で)
大学入学共通テストの受験生が試験中に設問画像を外部に送り、不正に解答を得たとされる事件で、東京地検は31日、警視庁から書類送検された女子受験生(19)について「保護観察相当」の意見を付け、偽計業務妨害の非行事実で東京家裁に送致した。女子受験生から画像を受け取り、外部に送ったとされる会社員の男(28)については偽計業務妨害罪で略式起訴した。
関係者によると、女子受験生は今年の共通テスト初日の1月15日、大阪府内の試験会場で「世界史B」の試験中に問題用紙をスマートフォンで動画撮影し、インターネットで男と共有。男は「中継役」として、映像を切り取って静止画にし、事情を知らない東京大の学生らに送って時間内に解答を得たとされる。
地検は、2人が試験問題を外部に流出させたことで、試験の公正な競争が成り立たなくなる恐れが生じたと判断。大学入試センターの業務を妨害したと結論付けたとみられる。
女子受験生は関西の私大に通いながら「仮面浪人」をし、男とは、頼み事を行う相手などを紹介するマッチングサイトを通じて知り合ったとされる。
事件は、東大生らが不正に気づき、大学入試センターなどに通報して発覚。警視庁が今年2月10日に偽計業務妨害容疑で2人を東京地検に書類送検した。女子受験生は警視庁の任意の聴取に対し、「東京の有名大学に入りたかった」と述べ、「とんでもないことをしてしまった」と話したという。
地検は女子受験生について、自ら出頭し、反省している点などを踏まえ、保護観察が相当と判断した。今後、家裁が調査し、少年審判を開始するかどうか決定する。
一方、地検は、男については報酬の受け取りを約束していたことなどから、罰金刑を求める略式起訴が相当と判断したとみられる。