
福岡県弁護士会館
訴訟の相手方に前科があることを金融機関に伝え、不当な圧力をかけたとして、福岡県弁護士会が奥田克彦弁護士(福岡県行橋市)と毛利倫弁護士(福岡市)を戒告の懲戒処分としたことがわかった。処分は3月14日付。
県弁護士会の議決書によると、奥田弁護士は会社間の請負代金を巡る訴訟で、支払いを求める側の会社の代理人を担当。払えない理由として、相手方が「金融機関から追加融資が受けられないため」と主張したため、2020年9月、この金融機関に対し、相手方が過去に有罪判決を受けたことを伝え、「執行猶予中の融資はコンプライアンス違反ではないか」「(対応次第で)金融庁に捜索依頼を行う」などと通知。追加融資の方針などについて回答を迫った。この会社と共同事業を行う人物の代理人だった毛利弁護士も同年10月、同様に通知した。
議決書は、前科情報の漏えいはプライバシーの侵害で、将来融資を受けられない業務妨害にもつながると指摘。金融庁への通報に関する言及も「不当な圧力」とし、弁護士法の「品位を失うべき非行」に当たるなどと判断した。
奥田弁護士は取材に「不要な情報を付け加え、圧力と捉えられるような文言を使ってしまい申し訳ない」、毛利弁護士は「特にコメントはない」としている。