テレ東の番組で注目集まる

街中を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
東京都内では約4万7000台のタクシーが、都心から下町、住宅街まで、まさに迷路のような道を日夜走り回っている。ここでは現役タクシー運転手の筆者が見てきた現場でのエピソードを紹介しつつ、タクシー業界が抱える課題を取り上げてみたい。
【画像】気になる! タクシー運転手の年収どのくらい?(7枚)
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最近、『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』(テレビ東京系)というテレビ番組がちょっとした人気らしい。全国各地でタクシーに乗車し、ドライバーに一番おいしい飲食店を紹介してもらう内容という。
実際、乗客から「どこかおいしい店知らない?」「推薦するラーメン店があったら連れてって」など、ふいに聞かれることはある。
スマートフォンが広く普及する前ならまだしも、今は飲食店のメニューや味の評価も調べられるアプリもある。わざわざ運転手に聞くというのは、タクシーが広範囲を走り回る仕事だから食についてもそれなりに詳しいと思われているらしい。
とはいえ、聞かれるのは月に1度か2度。そんなに多くはない。たしかに一般の人より外食の回数は多いから、特に定食屋さんやラーメン店は知らないわけではない。ちなみに聞いてくる客層は男性より女性が多い。特に若い人。年配の男性はほとんど聞いてくることはない。
筆者は長くタクシーをやっているが、場所によって教える店も違ってくる。
あえて店を教えない場合とは

街中を行くタクシーのイメージ(画像:写真AC)
例えばラーメン店だと、地元の行きつけの店なら自信を持って言えるが、高田馬場(新宿区)や三軒茶屋(世田谷区)、下北沢(同区)のようにラーメンの激戦区だと申し訳ないが「この辺はうまい店ばかりですから」と当たり障りなく答えることもある。
紹介した店が万が一お客さんの口に合わなかったら、思わぬトラブルになる恐れがあるからだ。「変な店に連れて行かれた」と、よくある苦情として会社に通報されるかもしれない。
そんなことまで気を回すのかと思うかもしれないが、良かれとやったことが出しゃばり過ぎになることもある。それだけ客商売のタクシーは難しいということだ。