自民党総裁の石破茂首相は21日、自民党本部で記者会見を開き、20日投開票が行われた参議院選挙で与党が非改選を含め参院全体の過半数を維持できなかったことに対し、「極めて厳しい国民の判断をいただいた。痛恨の極みであり、自民党総裁として心より深くお詫びする」と述べ、この結果を謙虚に真摯に受け止める姿勢を示しました。
自民党総裁 石破茂首相が参院選後、党本部での記者会見で国民の判断を受け止め、続投を表明する様子
国の現状と直面する危機
現在の日本が直面する困難として、石破首相は米国の関税措置、物価高騰、明日起こるかもしれない首都直下型地震や南海トラフ巨大地震といった自然災害、そして戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を挙げ、「国難とも言うべき厳しい状況」にあるとの認識を示しました。これらの多岐にわたる課題への対応が急務であることを強調しました。
政治の停滞回避と責任の自覚
石破首相は、このような厳しい状況下において「今、最も大切なことは国政に停滞を招かないことだ」と強調しました。今回の選挙結果に対する重大な責任を痛感しつつも、比較第一党としての責任、そして国家国民に対する責任を果たすため、「政治を停滞、漂流させない」との強い決意を表明。自民党総裁として続投する考えを明らかにしました。続投期間については、「いつまでという期限を今考えているわけではない」と述べるに留まりました。
「いばらの道」と他党との連携
衆参両院で与党が過半数割れしたことについて、石破首相は「ここから先は、まさしくいばらの道である」と表現しました。今後、他党との議論を「真摯に丁寧に深め」、「赤心報国の思いで国政に当たる」と語り、対話を通じた政治運営への意欲を示しました。一方で、現時点において連立の枠組みを拡大するという考えは持っていないとの見解を示しました。
物価高対策と財政責任
参院選の主要な争点の一つであった物価高対策、特に野党が訴えた消費税減税や廃止については、石破首相は「今回の選挙戦での議論を踏まえ、財政に対する責任も考えながら、党派を超えた協議を呼びかけ、結論を得たい」と述べ、超党派での議論の必要性を強調しました。国民生活に直結する課題に対し、幅広い合意形成を目指す方針です。
日米関係と関税交渉
さらに、米国との関税交渉についても言及し、石破首相は「私自身もできる限り早期にトランプ大統領と直接話をし、目に見える成果を出していきたい」と語り、首脳外交を通じて問題解決を図る強い意向を示しました。日米間の経済摩擦解消に向けたリーダーシップを発揮する姿勢を見せました。
石破首相の一連の発言は、厳しい選挙結果と多岐にわたる国難に直面しながらも、政治の安定と国民生活への責任を果たすべく、自らがリーダーシップを継続していく強い意志を示すものです。今後の国会運営や外交手腕が注目されます。