天候が回復し捜索に出発する漁師ら(3日午前5時44分、斜里町のウトロ漁港で)=大石健登撮影
北海道斜里町の知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、地元漁協は3日早朝、漁船による行方不明者12人の捜索を再開した。
1、2日は荒天のため出港できず、漁船による捜索は3日ぶり。これまでは最大10隻ほどが第1管区海上保安本部の捜索に協力してきたが、連休明けから本格的に始まる定置網漁の準備のため態勢を縮小、この日協力したのは3隻。捜索に向かう漁師は「一刻も早く見つけてあげたい」と語り、漁船に乗り込んで港を出て行った。
地元2漁協は水難事故の発生時に連携して捜索を行うため、「斜里救難所」を組織している。通常の捜索は3~5日だが、今回は発生から10日が経過しても捜索協力を続けている。
漁協関係者は「行方不明者がこれだけいるのにやめるわけにはいかない。ご家族のためにも、協力態勢を続けていきたい」と語る。
一方、海上保安庁は前日に続き、町内にある「知床遊覧船」の関係先を捜索した。職員らは写真を撮影し、資料などを段ボール箱に入れ、持ち出していた。
現地対策本部がある斜里町役場ウトロ支所では、この日も行方不明者らの家族に対する説明会が行われた。3日は約20人が参加。道警の水中カメラが初めてカズワンの船内に入ったことや、特別な設備で潜水深度の水圧に体を適応させて潜る「飽和潜水」で船内を捜索する方針などが報告されたという。