記者会見で頭を下げる段原監督(左端)ら(5日午後、熊本県八代市で)=内村大作撮影
熊本県八代市の私立秀岳館高サッカー部の男性コーチ(30歳代)による部員への暴行事件に絡み、同校は5日、全校生徒を対象にした学校生活に関するアンケート調査に基づき、サッカー部内の暴力行為を事件以外に38件確認したと明らかにした。この男性コーチによる行為が24件を占め、このうち生徒がけがをしたとされるケースも5件あった。同校は調査を進め、刑事処分を待って男性コーチと段原一詞監督(49)の処分を検討する。
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中川静也校長と段原監督らが同日、初めての記者会見を開き、暴力行為について説明した。38件の内訳は、男性コーチ24件、別のコーチ1件、部員間13件だった。
男性コーチが昨年9月頃、練習中に部員の太ももを蹴り、顔面を踏みつけたとする部員の証言も複数あった。これに対し、男性コーチは「記憶にない」と話しているという。部員のけがは口を切ったり、鼻血が出たりしたという内容で、いずれも受診していなかった。同部以外の暴力行為も15件確認された。
一方、暴行の動画拡散に関して部員11人が頭を下げ、「たくさんの人に迷惑をかけて申し訳ありません」などと謝罪する動画を部の公式ツイッターに投稿した件に、段原監督が関与したことも明らかにした。学校側は当初、「部員が自主的に投稿した」としていたが、段原監督は「投稿は部員の提案。投稿の前に部員と協議はした」と説明。撮影の際、マスクを外して名乗るよう求めるなどしたという。
一部の部員は「(投稿するよう)監督から言われた」と証言したが、段原監督は否定している。これについて学校側は「部員によって受け取り方が違う」と述べるにとどめた。
中川校長は会見で、事件について「絶対にあってはならないことを起こし、深くおわびする」と述べ、段原監督らとともに頭を下げた。事件は4月20日、男性コーチが寮で部員を殴ったり、蹴ったりした動画がSNS上で拡散して発覚。県警は暴行容疑で男性コーチを八代区検に書類送検した。