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暖かくなり、新緑もだいぶ濃くなってきたこの時期は、ミミズも地上に這い出してくる頃。5月11日からは、七十二候「蚯蚓出(みみずいずる)」です。
その見た目から苦手な方もいるかもしれませんが、ミミズはとっても働き者。ミミズの印象が変わるお話をご紹介します。
※苦手な方も多いため、記事にミミズの画像は使用しておりません。
良い土作りには欠かせない存在
ミミズなんていなくてもいいんじゃないかな。そう思う方もいるかもしれませんが、実は土壌環境の改善に大きく貢献しているんです。
長い間放置され、固くなってしまった土を耕すのは、なかなか苦労するものです。しかし、ミミズの力を借りればふんわりと柔らかな土に仕上がります。というのも、ミミズが土の中を移動するだけで、土は自然に耕されるからです。
ミミズは土を掘りながら移動するので、動けば動くほど地中の土は掘り起こされます。さらに、ミミズの通り道は空気や水の通り道ともなるため、通気性が良く、地中深くまで水が行き渡るようになるのです。
ミミズにとっては、ごく普通に生活を送っているだけかもしれませんが、私たちにとっては、植物を植えるにはもってこいの良い土が着々と作られるわけです。
全てが土のためになる!?
ミミズというのは、土を食べて、その中に含まれる有機物や微生物を摂取しています。ミミズが1日に食べる土の量は、自分の体重と同じくらいと言われています。
「ミミズの体重くらいなんて、ほんの少しじゃん」と思うかもしれません。
私たちから見れば確かにそうなのですが、人間に置き換えて考えてみてください。例えば、体重50キロの人が、自分の体重と同じ分の食事をとるとなると、50キロ分の食事量ということになりますから、なかなかハードですよね。細い体なのに、案外食べる量は盛り沢山です。
食べた土はその後排泄されるのですが、ミミズは糞(ふん)も肥料の役割をします。さらに驚くことに、ミミズの体には「窒素」や「リン酸」など、植物の栄養になるものが含まれているので、死骸さえも肥料となります。
生きていても、死んでしまっても良い土作りに役立っていたなんて。毛嫌いしていたのがちょっと申し訳なくなりますね。