山本太郎氏のガンダムコスプレ、著作権侵害で波紋――「無許可」と制作会社が声明

参議院議員選挙の期間中、れいわ新選組の山本太郎代表が披露した人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズに登場するキャラクターのコスプレが、広範な波紋を呼んでいます。特に、キャラクターの政治利用と著作権に関する問題提起が相次ぎ、遂には作品の制作会社であるバンダイナムコフィルムワークス(旧サンライズ)が公式声明を出す事態へと発展しました。

ガンダム制作会社が公式声明を発表

今回の参議院選挙において、れいわ新選組は「機動戦士ガンダムZ」でエマ・シーンを演じた声優の岡本麻弥氏を比例代表候補として擁立しました。これに合わせ、山本太郎代表は「Zガンダム」に登場するクワトロ・バジーナのコスプレ姿で選挙活動を展開。山本氏は7月18日、自身のX(旧Twitter)に長文を投稿し、岡本氏を擁立した理由を「日本のポップカルチャーを守るため」と説明し、「比例は『岡本麻弥』でお願いします」と投票を呼びかけました。この投稿には、コスプレ姿の山本氏がガンダム像の前で岡本氏を紹介する動画も添付されていました。

しかし、このパフォーマンスに対し、アニメ制作会社のバンダイナムコフィルムワークスは7月22日、自社のウェブサイトに「2025年第27回参議院議員選挙における選挙活動について」と題する声明を掲載。声明文には「ガンダムシリーズのキャラクターをイメージあるいは強く想起させるコスプレ風衣装や、シチュエーションによる動画・SNS投稿等を用いた選挙活動を行っている候補者がいらっしゃいましたが、株式会社バンダイナムコフィルムワークスが認可したものではなく、弊社が特定の候補者を支持することはございません」と明記され、山本氏のコスプレが「無許可」であったことが公にされました。

ネット上の厳しい批判とガンダムファンの反応

山本氏のコスプレを用いた選挙アピールは、残念ながら岡本氏の当選には繋がらず、個人で2万1057票を獲得するも次点で落選しました。それ以上に、ネット上では山本氏の行動に対する非難の声が多数寄せられました。「また俺たちの山本太郎様が世間様に迷惑を…」「ガンダムを政治利用するなんざ愚の骨頂」「山本太郎やれいわ新選組は下衆だ」といった厳しい意見が相次ぎ、中には「ガンダムの政治利用で岡本麻弥はもうサンライズ作品に出れないかもね」と、岡本氏への影響を懸念する声も見られました。

特に、『ガンダム』シリーズの熱心なファンからは、「細かすぎる」とも言える指摘が多数上がりました。山本氏が扮したクワトロ・バジーナは作中で「無責任に投げ出した」過去を持つキャラクターであり、「選挙のアピールに不向き」という声。さらに、コスプレ姿の背景に映るガンダム像が「Zガンダム」ではなく、「ユニコーンガンダム」であった点に対し、「一番なってないのはバックがユニコーンだということだよ。Zガンダムに合わせるならせめてバックはZガンダムだろ」といった具体的なツッコミも入っています。これらの指摘は、「キャラクターを用いるならば、事前の許諾はもちろん、細かいリサーチも必要。今回の山本さんのコスプレは作品に対するリスペクトがない」という、ファンからの根強い不満を示しています。

参議院選挙期間中、クワトロ・バジーナに扮しユニコーンガンダム像前で演説するれいわ新選組の山本太郎代表参議院選挙期間中、クワトロ・バジーナに扮しユニコーンガンダム像前で演説するれいわ新選組の山本太郎代表

政治活動におけるキャラクター利用の課題

今回の山本太郎氏のケースは、政治活動における人気キャラクターやポップカルチャーの利用が抱える問題点を浮き彫りにしました。著作権の侵害という法的側面はもちろんのこと、作品に対する理解度やリスペクトの欠如が、ファンコミュニティからの強い反発を招く結果となりました。公人が注目を集めるためのパフォーマンスを行う際には、その内容が社会に与える影響、特に著作物やブランドイメージへの配慮が不可欠です。

政治とエンターテインメントの境界線は曖昧になりがちですが、キャラクターや作品の無断使用は、単なるファンサービスの範疇を超え、法的な問題や文化的な冒涜として受け取られる可能性があります。今後、同様の事態を避けるためには、事前の許諾取得はもとより、綿密なリサーチと作品への深い理解が求められるでしょう。目を引くパフォーマンスは、かつて山本氏が「天才・たけしの元気が出るテレビ」で披露した「メロリンQ」のように、純粋なエンターテインメントの領域に留めておくのが賢明だったのかもしれません。

Source link: https://news.yahoo.co.jp/articles/4fed77a86157f14cd4d1a16b66490fa4f9672485