東京地裁
教室内で教え子の女子児童が着替える様子を撮影したなどとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造、単純所持)に問われた東京都江東区立小学校教諭の被告の男(46)の初公判が19日、東京地裁(古玉正紀裁判官)であった。被告は罪状認否で、起訴事実を認めた。
起訴状では、被告は2019年9月3~5日、同小学校の教室内で、担任していた1年生の女子児童2人が水着に着替える様子をスマートフォンで撮影したなどとしている。
検察側の冒頭陳述によると、被告は02年から都内の公立小学校に勤務。児童の太ももを触るなどしたとして、17年に都教育委員会から停職3か月の懲戒処分を受けていた。
検察側は、押収したUSBメモリーやスマホに記録されていたデータを解析した結果、1年生の動画とは別に、15年度と18年度にそれぞれ担任していた4年生3人と3年生1人の女子児童が教室内で着替える様子を撮影した画像や動画も見つかったと指摘。このうち3年生の女子児童を撮影した画像や動画は計140点に上り、一部は下着を脱ぐよう指示して撮影していたとした。
被告は、12年5月に当時10歳代だった元教え子の少女に乱暴したとして強姦(ごうかん)(現・強制性交)罪でも起訴されており、今後、併合審理される。
「不審な行動見た」との証言も
「裏切られた。本当にショックだった」。被告の勤務先の江東区立小学校に娘を通わせる40歳代女性は、そう憤る。
複数の保護者によると、今年2月に被告が逮捕された後、同校で臨時保護者会が開かれた。学校側からは「盗撮の被害を受けた女子児童がいる」などと事件の概要が報告されたという。
被告は、クラスの女児たちに優しく接するため、人気があった。ただ、自身の膝の上に女児を乗せたり、おなかを触らせたりするなど不審な行動を見たと証言する保護者もいるという。一方で男子児童には厳しく、運動会などで男児を激しくどなりつける姿も目撃されていた。女性は「違和感を覚えたこともあったが、『きちんと教育してくれるだろう』と信じていた。こんなことになるなんて……」と声を震わせた。
被告は別の小学校で児童の太ももを触ったなどとして、17年に都教育委員会から停職処分を受けていた。処分後に再び同じようなわいせつ行為に及んでいたことについて、都教委は「処分した教員が逮捕、起訴されたことは極めて遺憾。再発防止の徹底に努める」とし、被告の再処分を検討している。また江東区教育委員会は、児童の不安を解消するため、スクールカウンセラーを増員したほか、全ての区立小中学校と幼稚園で教職員向けの研修を実施した。