国会質問通告「2日前ルール」論争:高市総理早朝出勤から与党議員の撤回まで

11月7日の衆院予算委員会を巡り、国会での質問通告に関する「2日前ルール」の有無が大きな論争を巻き起こしました。高市早苗総理(64)が委員会に臨むため同日午前3時に首相公邸入りし、準備に励んでいたことが発端となり、一部与党議員が野党の質問通告の遅れを批判。しかし、その主張には事実誤認が含まれており、最終的には官房長官による明確な説明と一部議員による投稿の撤回に至る事態となりました。この一連の騒動は、国会運営における情報伝達の正確性と、SNS上での政治的発言の責任について改めて問いかけるものとなっています。

高市総理の早朝出勤と国光議員の指摘

衆院予算委員会が開かれた11月7日、高市総理は答弁書作成の都合上、午前3時に首相公邸に入り準備を進めていました。このハードワークぶりが報じられる中、元厚労省職員で自民党の国光文乃衆院議員(46)は8日、自身のX(旧Twitter)アカウントで、高市総理の早朝出勤の背景には「(特に野党の)質問通告が遅い」ことがあると主張しました。国光議員は、質問通告の「前々日の正午まで」というルールが守られていないとし、その原因が立憲民主党にあると指摘。人事院調査のURLを添え、国会対応業務の超過勤務要因として「質問通告遅い」が最多であること、そして「2日前のルールを守っていないことが多い国会議員の所属政党」として立憲民主党が突出していることを挙げました。

「2日前ルール」の真実と杉尾議員の反論

国光議員が持ち出した質問通告の「2日前ルール」は、1999年に当時の与野党間で「前々日の正午までに質問の要旨等について通告する」と取り決められたものです。しかし、このルールは2014年に「速やかな質問通告に努める」と変更されており、厳格な「2日前ルール」としては存続していませんでした。このため、国光議員の投稿に対し、ユーザーからは多くの指摘が寄せられることとなります。立憲民主党の杉尾秀哉参院議員も9日にXで「前々日の正午が通告期限という申し合わせはありません」と反論。10日には、質問通告に関する嫌がらせメールが事務所に殺到していると訴えました。

質問通告遅延問題で野党を批判した松島みどり首相補佐官質問通告遅延問題で野党を批判した松島みどり首相補佐官

木原官房長官による事実確認と国光議員の撤回

一連の議論を受け、木原稔官房長官(56)は10日の記者会見で、国光議員の投稿について言及しました。「前々日の正午までという質問通告ルールが続いていることを前提としていた時点で事実誤認であった」と述べ、国光議員の主張が誤りであることを明確にしました。さらに、7日の予算委員会の開催決定は5日正午前の理事懇談会であり、質問通告は「前日6日の正午頃にはすべて出されていた」と説明し、野党の質問通告が遅れたとの指摘も否定しました。

木原官房長官の発言を受け、国光議員も同日中にXを更新。「前々日の正午までという質問通告ルールが続いていることを前提とした当方の投稿は、事実誤認であり、撤回させていただくとともに、国会でお決めいただく質問通告のルールについての発言は慎重であるべきでございました」と釈明し、当該投稿を削除しました。

松島みどり首相補佐官の対応と残る疑問

しかし、国光議員と同様に「2日前ルール」を持ち出して野党を批判したのが、松島みどり首相補佐官(69)です。松島議員は8日にXで、高市総理の早朝出勤に触れ、「7日の予算委員会の野党質問者は6人ともすべて立憲民主党の議員だったが、通告が、前日の午後6時以降になる議員がいるなど遅かった」と投稿しました。衆院では「質問通告は2日前までに出すルール」があると主張しましたが、木原官房長官の発言によってこの前提は事実誤認であることが明らかとなっています。

松島議員の投稿は、木原官房長官による公式な説明後も削除されず、訂正も行われていません。これに対し、X上では「内閣不一致ではないか」「首相補佐官までSNSでデマ?」といった疑問の声が上がり、事実誤認に基づく情報発信の責任について、引き続き議論が交わされています。

結論

今回の「2日前ルール」を巡る騒動は、国会における質問通告の運用実態と、与党議員による情報発信のあり方に大きな注目を集めました。木原官房長官の明確な説明により、一部の批判が事実誤認に基づくものであったことが判明し、国光議員は速やかに投稿を撤回しました。しかし、松島首相補佐官の投稿は依然として削除されておらず、政治家による正確な情報発信の重要性を改めて浮き彫りにしています。今後も、このような情報伝達の透明性と責任ある行動が、健全な政治議論の基盤となるでしょう。


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