最短5日間で作業完了 海上引き揚げが難関 知床沈没船


 北海道・知床沖の水深約120メートルの海底に沈んだ船体の引き揚げが始まる。海上保安庁は陸揚げまでの作業期間について最短で5日間を見込むが、進捗(しんちょく)は天候に左右される。また、海面上に出す際は大きな力が船体にかかるため、難しい作業になるという。

 海保によると、1日目はカズワンのドアやハッチなど開口部を全て閉じるほか、作業の妨げになるアンテナなどを取り外したり、落下しそうな物を固定したりする。作業は高い水圧に体を慣らした飽和潜水士が1日がかりで行う。

 2日目は潜水士がスリングと呼ばれるナイロン製のベルトを船底下に数本通し、作業台船で巻き上げる。船体は水面下10~20メートルまでつり上げて固定し、網走港沖までえい航する。

 3日目に船体を海面上に引き揚げる。クレーンで台船の上に移すが、海保の担当者は「海面から出す時、船体に一番力がかかる。慎重にやらなければならない」と話す。

 引き揚げた後は台船上で固定し、数日かけて水を抜く作業などを進める。網走港に台船を着岸させてクレーンで陸に揚げる計画で、一連の作業は5~7日間かかる見通し。

 海保は引き揚げ作業を担う民間の専門業者と約1億4000万円で契約。担当者は「現場海域は海流が速い。気象の状況次第で予定は延びる可能性がある」と話すが、荒天時の待機費用も含まれているという。 



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