切断した手に「雷に打たれたような激痛も」 10年経っても消えぬ「幻肢痛」、当事者語る辛さ


切断した手に「雷に打たれたような激痛も」 10年経っても消えぬ「幻肢痛」、当事者語る辛さ

山田千紘さん

【写真】山田千紘さんの両足

 日本ペインクリニック学会誌20年6月25日発行号の情報によると、幻肢痛は「四肢切断後の50%の患者で発症」するが、「確立された治療方法」はないという。山田さんはどんな痛みを感じているのか。自身の実体験や、その痛みを人に伝えることの難しさなどを語った。

 【連載】山田千紘の「プラスを数える」~手足3本失った僕が気づいたこと~ (この連載では、身体障害の当事者である山田千紘さんが社会や日常の中で気づいたことなどを、自身の視点から述べています。)

■痛みで一晩中眠れないことも

 事故の後に病院のベッドで目が覚めた時、手足が3本なくなったとは思っていませんでした。右手と両足の指先まで感覚があったんです。でも、よく見ると無い。無いはずの手足があるように感じ、しかも痺れるように痛みました。

 残っている手足の感覚は「幻肢」、それが痛むのは「幻肢痛」というものだと入院中に知りました。約10年経った今でもビリビリと痺れるような痛みがあります。

 入院中しばらくは、なくなった手足3本とも激しい痺れがずっとある状態でした。時が経つにつれ、慣れてしまったからなのか、事故当時ほどは痛みを感じなくなりました。でも痺れ自体はずっとあって、消えることはありません。

 手と足とで感覚が違います。手は事故当時、切断した腕から指先までがまだ全部あるような不思議な感覚でした。それがいつの間にか、腕が存在する感覚はなくなりました。でも、指の感覚は今もはっきりとあります。残った右腕の先(断端)の中に指が収まっている感覚で、その指が痺れるというような状態です。この感覚は伝わりづらいかもしれません。

 手の幻肢痛は、年に数回くらい雷に打たれたような激痛が走ることもあります。先日も一晩中眠れなくなった日がありました。対処法がいまだに分からないから、とにかくベッドの中で手を押さえて耐えました。



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