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放置されたままの空き家が今、全国で増え続けている。
倒壊の危険性がある“特定空き家”を約150軒かかえる愛知県南知多町を取材すると、所有者に代わって全ての空き家を解体するのには数億円の税金がかかり、対策に限界がきていることがわかった。
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「上を見て歩かないと瓦が怖い」…5軒に1軒が空き家になった町
愛知県・知多半島の先端に位置する漁業の町、南知多町の師崎(もろざき)地区。
取材班が路地裏を歩いてみると、たくさんの空き家があった。
住民の女性A:
本当に多いもんね、空き家が。不便なのでこっち(南知多町)は
2018年に総務省が行った調査によると、人口減少が進む中で空き家も増え続け、現在“空き家率”は全国で13.6%にのぼる。
漁業だけでなく観光でも賑わった南知多町だが、人は都市へと流れ、今や人口はピークから半減。空き家率は21.6%、5軒に1軒が空き家で、県内ワーストとなってしまった。
路地を奥へと進むと、2軒の住宅の間に、建物全体が植物で覆われたボロボロの空き家があった。外壁のベニヤ板はところどころ剥がれ落ち、今にも崩れそうだ。
住民の男性A:
怖いです。もし(物が落ちてきて)当たったらえらいことになっちゃう
住民の女性B:
(何とかしてほしいと)みんな思っている。上を見て歩かないと瓦が怖い
近隣に住む住民たちも、日々の生活の中で危険と隣り合わせの状況だ。
所有者不在も多く…行政が代わりに解体する「代執行」にも費用の壁
こうした空き家はなぜ、危険なまま放置されているのか?
南知多町空き家対策係・担当者:
奥にある2棟の建物。夏になると倍以上に草が生え、スズメバチ等が巣を作ってしまうので、危険な状態
母屋と、隣接する蔵の2棟の建物。蔵は築50年ほどが経過しているという。危険な状態の2棟だが、所有者がいない。
南知多町によると、元々は女性が1人で住んでいたが、2015年に死去。女性には夫や子供がいなかったため、姉に相続権が移ったが、姉はそれを放棄した。それ以降空き家となり、誰も管理する人がいない状態だというのだ。
新たな買い手が見つからず危険性がさらに高まった場合、行政は「代執行」を行って建物を壊すこともできるが…。
南知多町空き家対策係・担当者:
代執行自体が厳しいのが本音。代執行することは税金を使っているだけですので、その分、他の住民サービスをやめることになります。実際に費用回収できなかった場合、行政の責任も問われます