イングランドの広い地域に渇水宣言、水の使用をさらに制限も

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イングランドの広い地域に渇水宣言、水の使用をさらに制限も

イングランドの広い地域に渇水宣言、水の使用をさらに制限も

渇水宣言により、水の使用制限がさらに厳しくなる見込み。水道会社5社はすでに、屋外の散水禁止などを発表している。

数百万人の国民が影響を受けることが予想されているが、環境庁は、必要な水の供給は確保できているとしている。

同庁で渇水対策を主導しているジョン・カーティン氏は、渇水は「長期間」続くだろうと述べ、作物の育成を制限したり、これまで以上に散水を禁止したりする可能性があると警告した。

イギリスではこのところ、降水量が減っているほか、7月の熱波では最高気温を更新。河川や貯水池、帯水層(水の貯まっている地層)が枯渇している。

イングランドでは広範囲で干上がり、芝生が黄色く変色してしまっている場所もある。

こうした状況を受け、環境庁はイングランドのデヴォンとコーンウォール、ソレントとサウス・ダウンズ、ケントとロンドン南部、ハートフォードシャーとロンドン北部、イースト・アングリア、リンカンシャーとノーザンプトンシャー、イースト・ミッドランズの8地域に渇水宣言を発令した。

さらに、8月後半にはヨークシャーとウエストミッドランズも渇水状態に陥るとみている。

渇水宣言は、イギリス政府と環境庁、水道会社、全国農業連盟などからなる全国渇水対策グループの会合後に発令された。

宣言が発令されると、政府と水道会社が対策として、散水禁止や、河川からの取水量の増加といった計画を実行に移すことになる。

散水禁止の基準は水道会社によるが、ホースによる庭や植木への水やりや、プールやビニールプールの使用、洗車、窓や壁の洗浄などができなくなる。違反すれば最大1000ポンド(約16万円)の罰金を課せられる可能性がある。

ただし、屋内の水道からバケツやじょうろを使ったり、貯めておいた雨水を使っての、こうした活動は制限されない。

渇水の影響を受けている一般家庭や企業も、節度ある水の使い方を求められている。今年のイングランドの1~7月は、1976年以降で最も降水量の少ない7カ月間となっている。

イングランドのほかでは、ウェールズの渇水対策グループも、乾燥した気候の影響を注視している。

ウエスト・サセックスで農業を営むドミニク・ガーデナーさんは、乾燥した気候が農家に大きな影響を与えていると話す。

「何もかもが少しずつうまくいかなくなっている。牧草が全く生えなくなっているため、家畜にいつもより多くのえさを与えなくてはならない」

また、乾燥によって穀物の収穫も減少しているという。

スコットランドのファイフでは13日深夜から、エデン川からの灌漑(かんがい)が一時的に禁止された。

英気象庁は14日までの4日間、イングランドとウェールズの広い地域に対して、高温警報のレベルが2番目に高い「オレンジ」を発令している。

週明けには気温が下がる見込みだが、15日にはイングランドとウェールズ、スコットランドのほとんどの地域に「黄色」の雷警報がている。イギリスの気象警報は「黄色」、「オレンジ」、「赤」の3段階からなる。

また現在、イングランドとウェールズの大半で、山火事の深刻度指数が「非常に高い」となっている。イギリス全土で山火事が起きており、消防隊は「前例を見ない」状況になっているという。

南西部ブリストルでは、厳しい暑さがホームレスの人々を襲っている。地元の慈善団体は活動時間を増やして、飲料水や日焼け止めの支給や、暑さ対策の助言などに当たっている。

イギリスでは今週、最高気温の上昇が連日続いた。気象庁によると、12日には各地で34度前後となり、週末には36度に達するところも出てくるという。

■野党は政府や水道会社を批判

最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、政府が渇水に対して十分な準備をしていなかったと非難。また、水道会社の対応も批判した。

水道会社は先に、イギリス全土で毎日、供給量の20~24%に当たる30億リットルを漏水で失っていることが発覚している。

スターマー氏は、渇水は「予測できるもの」だったが、「いつも通り、政府から何の計画も出てこなかった」と述べた。

これに対し、ジョージ・ユースティス環境相は、住民が「危機感を抱く必要はない」と説明。イギリスの水の供給量は「依然としてしっかり確保できている」とした。漏水対策や貯水池間の水の移動のためのインフラ整備が進んだため、渇水に耐えられるよう「これまで以上に頑丈な状態にある」と述べた。

人間の活動による気候変動の影響で、熱波はこれまで以上に頻繁かつ激化するとみられている。

イギリスの生態水文学研究所(UKCEH)は、 河川や貯水池、地下水を正常な水位に戻すには、今後1~3カ月間で「例外的な」降雨が必要だとしている。

また、イングランド南部やウェールズでは、貯水池の推移が「非常に低い」状態が10月まで続くと分析した。

一方で、暑さが長く続いた後の豪雨により、鉄砲水が発生する可能性があると警告する声もある。

英レディング大学の気象学者、ロバート・トンプソン教授は、「地盤は事実上、都市のコンクリートのようになっている」ため、長時間の雨に対応できるほど素早く水を吸収することができないと説明する。

イギリスのこうした状況は、ヨーロッパ全土の状況と似ている。欧州大陸の多くの地域で記録的な高温が続き、川底が露呈し、水の使用が制限されている。

渇水はドイツのライン川でも起きており、水位が非常に下がった影響で、いくつかの大きな支川で水が流れなくなってしまっている。

(英語記事 Drought declared across large parts of England)

(c) BBC News

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