子どもの頃引いたコロナ風邪による免疫システムが長期間持続 T細胞が強いほど新型コロナウにも強い反応
子どもの頃にコロナ風邪を引いた場合は、大人になってから8年ごとにコロナ風邪ウイルスに感染する傾向がある=ラホヤ免疫学研究所提供
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を攻撃する抗体=ウィキメディ・·コモンズ
子どもの頃、コロナ風邪を引いた人々は、成人になっても新型コロナウイルスに安定的な免疫反応を見せた=ラホヤ免疫学研究所提供
コロナパンデミックの主犯である新型コロナウイルスは当初、風邪ウイルスとして登場した。アデノウイルス、ライノウイルスと共に3大風邪ウイルスに挙げられる。通常、全体の風邪の10~30%がコロナウイルスによるものと推定される。
これまでに確認された人体感染コロナウイルスは7種。このうち4種(229E、NL63、OC43、HKU1)は比較的軽い風邪の症状を起こすコロナウイルスだ。 残りの3種は、重症の肺炎など深刻な症状を誘発する重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)、そして今私たちが経験している新型コロナを誘発するウイルスだ。
米国カリフォルニア州のラホヤ免疫学研究所(LJI)の研究陣が、新型コロナへの感染履歴のない人々の血液を採取して分析した結果、コロナ風邪ウイルスに対する免疫反応が強い人ほど新型コロナの予防力が高いことが分かった。同研究陣はこの内容を国際学術誌「セル・ホスト・アンド・マイクロブ」(Cell Host & Microbe)に発表した。
以前にコロナ風邪ウイルスに感染して生じた免疫体系の効果を調べるためには、新型コロナへの感染歴のない人々の血液が必要だが、研究陣は幸い、同じ研究所で新型コロナ発生以前に採取しておいた若い成人の血液標本を活用できた。彼らは皆、子どもの頃にコロナ風邪ウイルスに何度もさらされた可能性が高い人たちだと、研究陣は説明した。
研究に使用された血液は、新型コロナが発生する前の2016~2019年に6カ月から4年にわたってそれぞれ3~7回採取した32人の標本だった。研究陣は、彼らの血液にある免疫細胞(CD4+T細胞)が4種のコロナウイルスと変異前の新型コロナウイルスにどのように反応するのかを調べた。その結果、参加者の72~81%が4種のコロナウイルスにそれぞれ普通水準の免疫T細胞反応を示した。免疫反応の程度は、新型コロナウイルスに対する免疫反応の2倍だった。
新しい変異株にも似たような免疫反応が予想される
新型コロナウイルスは、約3万個の塩基で構成されたRNAウイルスで、その構造が4種のコロナ風邪ウイルスと似ている。したがって、コロナ風邪ウイルスで作られた適応免疫体系が新型コロナウイルスにもある程度通じるという推定は、新型コロナ流行の初期からあった。
例えば、今年1月に英国のインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究陣は、風邪コロナウイルスで生じたT細胞数値が多い人は新型コロナにかかりにくいという研究結果を、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した。
新型コロナウイルスにさらされた52人を調査した結果、新型コロナに感染していない26人のT細胞の数値がはるかに多かった。このT細胞は、ワクチンのようにウイルス表面のスパイクタンパク質に反応せず、ウイルス内部のタンパク質を標的にした。研究を主導したアジト・ラバルニ教授は「ワクチンの標的であるスパイクタンパク質は変異が起こりやすいが、T細胞の標的である内部タンパク質は変異が起こりにくいため、免疫力がはるかに長く持続する」と述べた。
今回の研究でラホヤ研究所の研究陣は、参加者の血液をコロナ風邪ウイルスのペプチド(アミノ酸の構成単位)および新型コロナウイルスに露出させた。その結果、T細胞と抗体の反応が4種の風邪コロナウイルスに対して安定的かつ持続的に現れることを発見した。また、コロナ風邪ウイルスに対するT細胞免疫反応が強い人たちが新型コロナにも強い免疫反応を示した。子どもの頃にできた免疫が大人になっても維持されるのだ。
研究陣は変異がT細胞反応に及ぼす影響は少ないため、オミクロンのような新しい変異株にも似たような結果が出るものと予想した。実際、昨年12月に事前出版論文集「バイオ・アーカイブ」に発表されたある研究で、オミクロンはT細胞が標的とする領域では変異が生じなかったことが分かった。
風土病へと移行する道程で
研究陣によると、子どもの頃の病気は強い免疫記憶を誘発する。したがって、ほとんどの大人はコロナ風邪をあまり引かないか、無症状または軽い症状にとどまっている。研究陣は安定した免疫記憶を持っている成人の場合、約8年ごとにコロナ風邪ウイルスに感染する傾向があると説明した。
今回の研究の究極的なメッセージは、実は交差免疫そのものよりは、交差免疫が新型コロナを風土病に変えるかどうかだ。
研究陣は、今回の研究は免疫体系がコロナ風邪ウイルスと新型コロナに類似した方式で対応するという考えを後押しするものだと主張した。したがって、このようなパターンを適用した場合、免疫人口が増えるにつれ、再感染の頻度は減り、症状も軽くなる可能性が高い。
研究を率いたアレッサンドロ・セテ博士は、変異の出現が免疫構築過程を複雑にする可能性はあるが、結局はそのような方向に帰結すると仮定できる確実な理由があると述べた。しかし、セテ博士はまだそのような段階までは来ていないと付け加えた。
研究陣は、新型コロナの感染が爆発的ではなく安定した水準にとどまる風土病に移行するとしても、依然として脅威だと強調した。研究陣はその根拠として、季節性風土病になったインフルエンザが依然として2020年に米国だけで5万3544人の命を奪ったという統計を挙げた。
クァク・ノピル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語記事入力:2022-08-1802:24
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1054714.html 訳H.J