プーチン氏の盟友ドゥーギン氏の娘、モスクワ近郊で車が爆発し死亡=ロシア報道
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の世界観に大きく影響したとされる国家主義思想家の娘が20日夜、モスクワ近郊で車が爆発したため死亡したという。複数の現地メディアが伝えた。現地報道によると、思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏(60)の娘ダリヤさん(30)は、車で帰宅中だった。
ロシア・メディア「112」によると、ドゥーギン親子は20日夜に集まりから帰宅中だった。当初は同じ車に同乗する予定だったが、直前になってドゥーギン氏は娘と別の車に乗ることにしたという。
「プーチンの脳」とも呼ばれるドゥーギン氏を対象にした攻撃だったのか、明らかになっていない。
通信アプリ「テレグラム」に投稿された未確認の現地映像では、救急車などが到着した現場で、大破して炎上する車両の前で、呆然(ぼうぜん)とした様子のドゥーギン氏の様子が映っている。映像の内容をBBCは独自に検証できていない。
匿名の警察関係者はロシア国営RIA通信に、モスクワ州オディンツォヴォの高速道路で車が炎上したと確認したが、詳細は明らかにしていない。
ロシア当局からの正式な発表はまだない。
■「プーチンのラスプーチン」
ドゥーギン氏はロシア政府内の正式な肩書を持つわけではないが、プーチン大統領と親しく、思想的に大統領に大きな影響力をもつとされ。このため、帝政ロシア末期に皇帝一家に近く、影響力を持った僧侶グリゴリー・ラスプーチンになぞらえて、「プーチンのラスプーチン」などと呼ばれてきた。
「ロシアは、欧米とは異なる価値観のユーラシアという独自の空間」だという「ネオ・ユーラシア主義」を提唱するドゥーギン氏の国家主義思想が、プーチン氏の世界観に大きく影響したとされており、ウクライナ侵攻を正当化するプーチン氏の理論形成にも関わっているとされる。
ウクライナ侵攻を支持するドゥーギン氏は2015年、ロシアによる2014年のクリミア併合に関与したとして、アメリカの制裁対象に加えられた。
20日夜に車の爆破で死亡した娘のダリヤさんも、親プーチン派メディアのジャーナリストで、ウクライナ侵攻を支持するコメンテーターとして知られていた。イギリス政府は、ロシアによるウクライナ侵攻についてオンラインの「偽情報」に加担しているとして、ダリヤさんを制裁対象にしていた。
(英語記事 Darya Dugina: Daughter of Putin ally killed in Moscow bomb – report)
(c) BBC News