江原道江陵市長徳2里(カンウォンド・カンヌンシ・チャンドク2リ)の住民、キム・ユンジャさんが大雨被害を受けた家の中に座っている。[写真 チョン・グォンピル記者]
「里長(村長)さん!助けてください」
江原道江陵市注文津邑長徳2里(カンウォンド・カンヌンシ・チュムンジンウプ・チャンドク2リ)の里長チョ・ウングさんは17日0時、受話器の向こう側から聞こえる切羽詰まった声で眠りから覚めた。外に飛び出したところ、雨が滝のように降り注いでいて、突然の増水によって村は冠水していた。すぐに村会館に走って行ったチョさんは住民たちを起こすために電話をかけた。
【写真】奇襲的大雨で住宅が浸水して道路が寸断された長徳里
「大雨が降って30分もしないうちに村が水に浸りました。はやく避難するようにと、浸水が心配される家々に電話をかけましたが、戸が開かないのにどうやって逃げたらいいのかと…」--チョ・ウング里長
その日0時前後に降った降水量は1時間当たり70ミリ以上と推定される。水爆弾が村を襲って10世帯余りに浸水被害があり、住民25人が避難した。
避難できなかった住民は119救助隊の助けを借りてなんとか無事を確保することができた。それから3日後の20日、廃墟になった村はしとしと降る雨の中でのろのろと被害復旧作業が行われていた。住民は水に浸かったオンドルのビニール床を引き剥がし、セメント部屋の床で生活していた。
◆20年前の台風15号の悪夢再現…「塀を高めても効果なし」
住民は20年前の悪夢がよみがえったようだと話した。2002年8月、この集落を焦土化した台風15号「Rusa(ルーサー)」のことだ。当時、江陵(カンヌン)には870.5ミリの記録的な大雨が降り、46人が亡くなって5人が行方不明になった。財産被害も8000億ウォン(現レートで約818億円)に達した。
大規模な水害被害を受けた後、長徳2里の住民は家を地面からで1メートルほど高く作り、塀もさらに高くした。しかし、20年ぶりに再びやってきた気候災難を避けることができなかった。
「ルーサーの時と全く同じです。寝ているときに浸水し、出ていくことができず、なんとか滑り込んで後ろの家に逃げました。その時は若かったのでなんとかなりましたが、また同じことが起きて目の前が真っ暗です」--キム・ユンジャさん(81)
里長のチョさんは「バケツの水をひっくり返したかのように雨が降り、どうすることもできなかった。(2002年台風15号以降に)塀も高くしたが、全く効果がなかった」と話した。
◆100ミリを超える滝の雨、14回も観測
最近の長徳2里のように「歴代級」の滝の雨が降ったところは甚大な被害を受けた。1時間当たり100ミリを超える雨が降ったソウル江南(カンナム)一帯も海と化した。ソウル新林洞(シルリムドン)では半地下住宅に住んでいた一家3人が避難できずに亡くなるなど人命被害も大きかった。全羅北道群山(チョルラブクド・クンサン)と忠清北道忠州(チュンチョンブクド・チュンジュ)、江原道襄陽(ヤンヤン)など全国各地で奇襲的大雨が降り、冠水などの大雨被害を受けた。
梅雨期が8月に大雨被害が大きかったのは過去どの年よりも強い雨が特定地域を集中的に襲ったためだ。韓国気象庁は通常1時間に30ミリ以上の雨が降れば集中豪雨に分類する。このような雨が3時間以上降ると予想される場合、最も高い特報基準である大雨警報を発令する。
気象庁と地方自治体の気象観測網を分析した結果、今月だけで1時間当たり100ミリを超える雨が全国で14回も観測された。ソウル銅雀区新大方洞(トンジャクク・シンデバンドン)では非公式測定値ではあるものの、115年観測以来最も多い1時間当たり141.5ミリの雨が降った。気象庁で長く勤めた予報官さえ「想像を超える数値」と漏らすほどだった。水爆弾または滝の雨という比喩がぴったりだと思えるくらいの大雨は、備える暇も与えてくれないまま突然局地的に降り注いだ。