「国際会議の成功には、開催都市の雰囲気や歓迎のムードが大いに関係する」
元国連事務次長の赤阪清隆・フォーリン・プレスセンター理事長は、国連や経済協力開発機構(OECD)など主要な国際機関に勤務し、多くの国際会議に携わってきた経験からこう指摘する。
平成9年、国立京都国際会館(京都市左京区)で開かれた地球温暖化防止のための京都会議で、赤阪さんは京都議定書の締結に奔走した。「冬のしんとした北山の会議場では、各国代表が会議に没頭できた。一方で京都の街中は温かい歓迎ムード。『この街で意見をまとめて帰りたい』と皆に思わせる雰囲気があり、締結を後押ししてくれた」と振り返る。
大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)でも、街の歓迎機運は成功への重要な要素になるだろう。大阪府千早赤阪村出身の赤阪さんは、「大阪で暮らす人たちの飾らない人柄が生かされる」とみている。各国から首脳やスタッフ、メディア関係者らが大勢来日する中、「形式張らない関西の人たちのもてなしが、サミット歓迎ムードとなって伝わるはず」と考えるからだ。
ただ、東京や京都、広島などに比べて大阪の国際的知名度は低いとも感じている。米中貿易摩擦など世界経済の不協和音を背景に、全世界が注目するG20サミットは、大阪の知名度を高める絶好の機会になる。
大阪はサミット後も、2025年大阪・関西万博の開催や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致など国際的な事業に取り組んでいく。都市の名前を世界に発信し、多くの外国人客を引きつけることは重要な課題だ。