ハルキウ州から撤収急いだロシア軍、大量の装備品失う


ハルキウ州から撤収急いだロシア軍、大量の装備品失う

ハルキウ州バラクリヤで見つかったロシア軍の軍用車両の残骸

【映像】鹵獲されたロシアのドローン、分解の様子を撮影

その量の特定は難しいとしたが、置き去りなどされたのは戦車や装甲車両も含む。専門家は、保有していた戦車の半数を失ったかもしれない戦車師団の存在も指摘。慌ただしく撤退したロシア軍が放置した戦車などを映した画像や動画も最近、多数出回っていた。

ウクライナ軍参謀本部は、今月6日からの1週間で破壊したロシア軍の装備は590と主張。戦車86両、装甲戦闘車両158両、砲門が106丁や車両159台などとした。

CNNはこれら数字を独自に確認出来ていないが、独立系のメディア「オリックス」は今年8月に比べ、ロシア軍の損害が大きく増加したことは立証出来ると説明。これら打撃の大半はハルキウ州で受け、南部ヘルソン州や東部ドネツク州でも生じたとした。同メディアはウクライナ侵攻が始まって以降、ロシア軍の損害などを照合する作業を続けている。

オリックスによると、今月11日の1日で破壊や損壊を受けたほか、捕獲もされていたロシア軍の装備は計102。戦車23両、装甲兵員輸送車13両に歩兵戦闘車両25両などだった。ロシア軍は翌日、さらに99を失ったともした。

これらは確認などが可能な損害のデータ分のみとなっており、実際の数字ははるかに多いともみている。

9月の第2週を対象にしてまとめた移動平均値によると、ロシア軍が一日あたり失った装備は平均で60以上。8月の最終週では約15だった。60以上との数字は、今年5月にウクライナ・ドネツ川の渡河を複数回図り無残な結果に終わった作戦以降では最も高い喪失率となった。

半面、ウクライナ軍が9月第2週で被った装備の損失は約10で推移していた。

ロシア軍がなくした装備の一部は、同国の正規軍ではなく、ウクライナ東部ルハンスク州で親ロシア勢力が名乗る「人民共和国」の民兵組織のものともみられる。これらの装備は旧式の可能性があるが、相当な数の最新型の兵器もあったという。

位置情報が確認された画像は、多数の改良型のT80型戦車が破壊などされた姿も示していた。地雷除去用の車両や装甲兵員輸送車の残骸も収められていた。

英ロンドン大学キングズカレッジで戦争研究に当たる軍事アナリストはSNS上で、2連隊を指揮下に置くロシア軍第4戦車師団がハルキウ州の要衝イジュームでの直近の敗北に伴う損害に言及。1連隊が持つ改良型のT80U型戦車のほぼ全部、あるいは同師団に属する予備の分も含めない全戦車の半分を奪われたとも分析した。

ロシア軍はこのほか、敵の火砲の位置を追跡する対砲兵レーダーも失った。ウクライナ軍兵士がハルキウ州で捕獲した短距離用地対空ミサイルを示す動画も流れた。また、性能に問題がないとみられるロシアのドローン(無人機)も回収していた。

ロシア軍がこれら装備を捨て去った理由について一部の専門家は燃料不足との見方を示した。

米シンクタンク「戦争研究所」は、非常に慌ただしく実行されたロシア軍の撤収は組織的な手法を講じられなかったことを意味すると指摘。今回の撤収に伴いロシア軍がこれほど多くの兵器や装備を失ったことは、ルハンスク州での同軍の戦力編成や新たな防衛ラインの構築を困難にする可能性もあるとした。



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