17日、ウクライナ東部ハルキウ州で、破壊されたロシア軍の戦車の上に乗るウクライナ軍の兵士ら(AP)
(写真:読売新聞)
【キーウ=上杉洋司、ベルリン=中西賢司】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は17日、ビデオ演説を通じ、東部ハルキウ州でロシア軍から奪還した複数の町で、計10か所以上の拷問施設が見つかったと明らかにした。拷問は「(露軍の)占領地の至る所で行われていた」と非難した。
ゼレンスキー氏は、ロシアとの国境近くの鉄道駅の一室で、電気ショックを与える器具が見つかったとも説明した。拷問施設がさらに見つかる可能性も示唆した。16日には、3月頃にスリランカ人留学生が拷問施設に収容されていたことも指摘している。
東部や南部ではウクライナ軍と露軍の攻防が続いている。東部ドネツク州の知事は17日、露軍が同州北方のスラビャンスクの火力発電所を砲撃したとSNSで明らかにした。英国防省は18日、住民生活に直結する重要施設への攻撃を露軍が強化していることについて、「ウクライナの人々や政府の士気をくじこうとしている」とし、懸念を示した。一方、米政策研究機関「戦争研究所」は17日、東部の戦況について、露軍はウクライナ軍の反攻に「非常に脆弱(ぜいじゃく)だ」と分析した。
ウクライナ参謀本部は17日、南部ヘルソン州のドニプロ川周辺で「露軍が退路を準備している」と説明した。ゼレンスキー氏はロイター通信とのインタビューで、「戦争終結について話すのは時期尚早だ」と述べ、国際社会に兵器支援拡大を求めた。
国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は17日、露軍が占拠する南部ザポリージャ原子力発電所に関し、外部電力網とつながる送電線4本のうち1本が復旧したと発表した。グロッシ氏は「電力状況はこの1週間で改善されたが、原発の状況は依然として不安定だ」と指摘した。