フィンランドのヘルシンキ・ヴァンター空港で、ロシアのサンクトペテルブルクから来たバスを降りる乗客(2022年9月24日)。
ロシアの独立系メディア『メドゥーザ(Meduza)』によると、ロシアは徴兵年齢の男性の出国を禁止する見込みだ。
禁止令は9月28日に発令される可能性が高いと、メドゥーザは報じている。
プーチン大統領が軍の部分動員令に署名したと明らかにして以来、国外へ逃れようとするロシア人男性が増えている。
ロシア政府は徴兵年齢の男性に対して国境を閉じることで、出国を禁止する見込みだ。ラトビアの首都リガに拠点を置くロシアの独立系メディア『メドゥーザ(Meduza)』が政府関係者2人の情報をもとに報じた。
関係者の1人は、禁止令は9月28日に発令されるだろうとメドゥーザに語っている。
もう1人の関係者は、ウクライナの親ロシア派勢力が実効支配する地域でロシアへの編入の賛否を問う”住民投票”が終わった後に禁止令が発令されるだろうと話している。投票は9月27日夜に終わる。
ロシア軍に徴兵されるのは18歳以上だ。18~27歳の男性は全員、1年間の兵役義務の対象となっている。既存の法律では、40歳までのロシア人男性、30歳までの外国人男性が兵役に就くことができる。
今回の禁止令は、徴兵年齢の男性の国外脱出を「出国ビザ」を手に入れた少人数に限るものだとメドゥーザは報じている。徴兵年齢の男性がビザを手に入れるには、徴兵事務所の許可を取らなければならないという。
ロシアでは、プーチン大統領が9月21日に軍の部分動員令に署名したと明らかにして以来、国外へ逃れようとするロシア人男性が増えている。
Insiderでも報じたように、国境検問所沿いでは渋滞が発生していて、航空券は売り切れたり、価格が高騰するなどしている。「ロシアを脱出する方法」を調べるグーグル検索も急増している。
ただ、国境を越えて逃れる選択肢はやや限られている。ガーディアンによると、ロシアと国境を接する欧州連合(EU)の加盟国5カ国のうち4カ国は、ロシア人の観光ビザでの入国を認めないとしている。
ロシアはウクライナ戦争を戦うために、30万人の予備役を動員する計画だ。戦闘経験者を優先するという。プーチン大統領は9月24日、軍人の自発的な投降などに関する罰則を厳しくした刑法改正を承認した。投降したり、脱走したり、戦うことを拒否した兵士には最長10年の懲役が科せられるという。
複数の報道によると、動員は混乱していて、補充兵に適さない人まで招集されている。Insiderでも報じたように、63歳の糖尿病を抱えた男性や17歳の少年も徴兵された。
こうした中、ロシアでは各地で抗議デモが起きている。首都モスクワを拠点とする人権監視団体OVD-Infoによると、24日の抗議デモの関連で、34の都市で少なくとも820人のデモ参加者が身柄を拘束されたという。
[原文:Russia expected to ban men of military age from leaving the country as thousands try to flee Putin’s call-up, report says]
(翻訳、編集:山口佳美)
Joshua Zitser