寿命が間近のNASAの火星探査機、火星に落下する隕石の音をキャッチ


寿命が間近のNASAの火星探査機、火星に落下する隕石の音をキャッチ

火星で観測機器を展開するNASAの探査機「インサイト」のイメージ画像。

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その役割を終えつつある火星探査機インサイトが、4つの隕石の衝突音と振動を捉えている。

宇宙の岩が火星の大気圏を通過して墜落する時の驚くべき音を聴いてみよう。

NASAの火星探査機インサイト(InSight)が、火星に衝突する宇宙石の地震波を記録するまではだれも他の惑星に衝突する隕石の音を聴いたことがなかった。

2021年9月5日、宇宙を疾走する岩石が赤い惑星の軌道を横切った。隕石は埃っぽいオレンジ色の惑星の表面に向かって唸り、大気圏に衝撃波を与えた。

地球の場合は、濃い大気を通過する際の摩擦と熱で燃え尽きたかもしれないが、その隕石は火星の薄い空気の中で生き残った。少なくとも3つの破片に分解され、火星の表面に衝突してクレーターを作ったのだ。

火星の振動やダスト・デビル(火星の地表温度が上がり、周辺の大気よりも熱くなったときに発生する、多くの粉塵を含んだ塵旋風)を測定するために設計されたインサイトの地震計は、隕石が火星に衝突した時の音声だけでなく、地表に当たった衝撃波も検出できるほど感度が高かった。NASAは2022年9月19日、その一部始終を音声で公開した。下の動画でその音声を聴いてみよう。

「不思議なことにバン!という音というより、低周波音のような感じだ」とサイエンスライターのコリー・S・パウエル(Corey S. Powell)はツイッターに投稿した。

その後、地球を周回するNASAの多目的探査機マーズ・リコネッサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter)が、隕石が衝突してできたクレーターの画像を撮影した。

ブラウン大学(Brown University)の火星での衝突の専門家、イングリッド・ドーバー(Ingrid Daubar)は「3年間も衝突を待っていたインサイトが、そのクレーターを美しく見せてくれた」とNASAのプレスリリースで述べている。

その後、科学者たちは過去のインサイトのデータを調べ、2020年から2021年にかけてインサイトから53マイル(約85㎞)から180マイル(約290㎞)の範囲で起こった3つの隕石の衝突を他にも確認した。マーズ・リコネッサンス・オービターはその後、これらの隕石の衝突によりできたクレーターも撮影している。

火星に落ちた合計4つの隕石の詳細は、2022年9月19日、科学雑誌『ネイチャー・ ジオサイエンス(Nature Geosciences)』に掲載された論文で発表された。

プレスリリースによると、これらは当初、科学者たちが見落とすほどの微弱な衝撃だったため、過去4年間の地震計のデータには、突風による振動ノイズに紛れて、他にも隕石の衝突が隠れている可能性があると研究者らは推測している。



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