ロシアのウクライナ4州併合、「決して」認めない=バイデン米大統領
アメリカのジョー・バイデン大統領は29日、ウクライナ領土を併合しようとするロシアの動きをアメリカは「決して、決して、決して」認めないと述べた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は30日午後にも、ロシアが占領するウクライナの4州の併合を宣言する見通し。
バイデン氏は、「これだけは非常に明確にしておく。合衆国はウクライナの主権領土を自分たちのものだとするロシアの言い分を決して、決して、決して認めない」と述べた。
アメリカはロシアが併合に踏み切った場合、追加制裁を科す考え。
ロシア政府はウクライナ東部のルハンスク、ドネツク、南部のザポリッジャ、ヘルソンの各州で行われた「住民投票」で、ロシアへの編入に対する賛成票が多数を占めたと主張している。
ウクライナと西側諸国は、みせかけの投票に過ぎないと一蹴している。
ロシアは投票は公正なものだと主張しているが、独立した監視体制はない。武装したロシア兵に投票するよう強要されたとの報告も広まっている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「偽の住民投票」に価値はないとし、ミハイロ・ポドリャク大統領顧問は「集団暴力」だと述べた。
「想像してください。(中略)占領軍の戦車がやってきて、避難できずにいる人たちの家やアパートに(中略)自動小銃を持った軍人がやってきて、武器を向けられて『投票しろ!』と言われる状況を」と、ポドリャク氏は述べている。
■ザポリッジャとヘルソンを「独立領」に
プーチン大統領は29日、併合に向けて、ザポリッジャとヘルソンを独立領とする法令に署名した。
ロシア国営メディアが公開した文書には、2州の独立は国際法に従って認められ、「国連憲章に明記されている」と書かれている。
しかし、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、国家の領土を武力行使によって併合することは、国連憲章と国際法に反する行為だとしている。
そして、これは「危険なエスカレーション」であり、「現代の世界にはふさわしくない」と述べた。
トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領はプーチン氏との電話会談で、この計画への反対を伝えた。
トルコ側の報道官によると、エルドアン氏はプーチン氏に対し、緊張緩和とウクライナとの和平交渉にもう1度チャンスを与えることを求めたという。
トルコは7月に国連と共に、黒海を通じたウクライナ産穀物の輸出再開をめぐる交渉を仲介し、ウクライナとロシアの双方の合意を取り付けた。
首都モスクワでは29日、翌日のプーチン氏による併合宣言に向けた準備が進められた。赤の広場にはコンサート用のステージが設置され、4州がロシアの一部だと宣言するボードが掲げられた。
2014年にロシアが一方的にウクライナ南部クリミア半島を併合した際にも「住民投票」が実施された。
クリミア半島併合と同様に、今回のロシアによる4州の併合も国際社会の大部分は認めないと予想されている。
それでもロシアの上下両院は10月初旬にも、併合に関する条約を正式に批准する見通し。
プーチン氏はウクライナの占領地域を併合することで、ロシア領が西側の兵器で攻撃されていると主張し、一部の西側諸国がウクライナへの軍事援助を停止することを期待しているとみられる。
一方のウクライナ政府は、戦場には何も変化は起きないとしている。
(英語記事 US will ‘never’ recognise Russian claims in Ukraine)
(c) BBC News