ロシア軍、ウクライナ東部要衝リマンから撤退
ウクライナ東部の要衝リマンから1日、ロシア軍が撤退した。ロシア国防省は、数千人の兵士がウクライナ軍に包囲されていたためだと説明しており、ロシアにとって大きな後退となる。
リマンは、ウラジーミル・プーチン大統領が9月30日に併合を宣言したドネツク州内にある町で、ロシア軍が補給拠点としてきた。ウクライナや西側諸国は、宣言された併合を違法な領土占有だとして認めていない。
リマンからロシア軍が撤退したことで、ウクライナ軍はドネツク州や隣接するルハンスク州へのアクセスが容易になるため、戦略的に大きな意味を持つ。
インターネットで拡散された動画では、リマン周辺でウクライナ兵が国旗を掲げている姿がうかがえる。
しかしウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの夜のビデオ演説で、リマンでの戦闘は「まだ続いている」と述べた。ただし、その詳細は明かさなかった。
ウクライナのユリク・サク国防顧問は、激戦の末にリマン周辺を奪還したのは「大きな成功」だと話していた。また、ウクライナ軍はロシア兵に投稿の機会を与えていたとし、戦争捕虜となった方が、ロシア軍にとどまるより良い扱いを受けるだろうと述べていた。
その後まもなくしてロシア政府は、リマンから軍が撤退したことと、この地域でウクライナ軍が「圧倒的な武力」を持っていたことを認めた。
軍事アナリストらは、戦況はウクライナ政府に追い風となっていると指摘。同国について、ロシア占領下にあるすべての領土を取り戻すために反攻を進める決意だと説明した。
ゼレンスキー氏も9月30日のビデオ演説で、「私たちの領土全体を解放する」ための努力は、国際法の違反は認められないことの証左になると語った。
その他の戦況は以下の通り。
・チェチェン共和国の指導者で親ロ派のラムザン・カディロフ氏は、ロシア軍のリマン撤退を受け、同軍は小型の核兵器の使用を検討すべきだと発言した。
・北東部ハルキウ州で民間人輸送車が攻撃され、死者が出た事件の詳細が明らかになった。同州のオレグ・シネグボフ知事はテレグラムに、9月25日の砲撃では子供13人を含む24人が死亡したと投稿した。民間人の乗った車への攻撃はこの数日で2回起きているが、ロシアはこの件についてコメントしていない。
・ロシアがクリミア半島に置くベルベク軍事基地で、飛行機が滑走路から外れて火災を起こした。クリミアでは8月、サキ軍事基地で爆発があったが、のちにウクライナが空爆を行ったと明らかにした。
(英語記事 Russian troops forced out of key east Ukraine town)
(c) BBC News