イランのラフマーニ駐日大使は24日、トランプ米政権がイランへの制裁圧力を強める一方で前提条件なしでの交渉を呼びかけていることについて、「まやかしだ。米国は(昨年離脱した)核合意の原点に立ち返るべきだ」と述べ、米国が核合意に復帰することが先決だとの考えを示した。東京都内の日本記者クラブで記者会見した。
ラフマーニ氏はまた、イランが核合意の履行義務を一部停止すると表明したのは、「他の当事国が十分に義務を果たしていないことを受けた正当な権利の行使だ」と主張。日本を含む国際社会は、「イランを核合意にとどまらせたいのなら、具体的な行動を起こすべきだ」と警告した。
一方、安倍晋三首相のイラン訪問中にホルムズ海峡付近で日本などのタンカーが攻撃を受けた事件の背後には「日本とイランの関係発展を阻害し、イランへの嫌悪感を抱かせようとするいくつかの国々がいる」と述べ、イラン革命防衛隊が関与したとするトランプ政権側の主張を否定した。
その上で、安倍首相のイラン訪問は「成功だった。中東地域の平和と安定に向けた首相の主導的役割を支持する」と強調。訪問の前後に米国が相次いでイランへの制裁措置を発表したのは、「首相の善意を妨害」するものだとも指摘した。
安倍首相は今月中旬のイラン訪問で、最高指導者のハメネイ師やロウハニ大統領と会談した。会談に同席したラフマーニ氏は「(両国首脳は)建設的で友好的で、率直な意見交換ができた」との印象を語った。(大内清、沢田大典)